月へ
将軍をただちに呼べ
は
帝様どうされましたか
かぐや姫は
実は月から参ったものじゃ
今度の満月の日に月から迎えが来る
私はかぐや姫を愛しておる
なんとしても
月に帰るのを阻止するのじゃ
は
わかりました
この国の強者をただちに集めましょう
よし
そして満月をむかえ
よし、今日は満月の日だ
将軍、わかっておるな
は
すでに準備は万全です
屋敷には
この国の強者を集め
いつでも月からの船を打ち落とす準備ができております
よし
権助さま
ついに満月の日がやってまいりました
もう一度会いたいです
王様
そろそろ準備が整いましたので
あの星へ舟へ出します
ああ
そのようにしろ
皆の者
姫は王様譲りの月の力を持っておる
全力で舟に迎えるのだ
は
わかりました
よし
それでは
出発じゃ
私も迎いにいくとしよう
帝様
満月が輝き始めました
よし
全力でかぐや姫を守り通すのじゃ
は
皆の者
良く聞け
言った通り月から舟が来る
お前たちはこの国の中でも強者ばかりだ
必ず舟を打ち落とせ
は
わかりました
あれが
姫がいる星か
そろそろ見えてきたな
さすがは
厳重な守りだな
おい
月の力を使え
は
帝様
舟が見えてまいりました
次第に近づいてきます
よし
近づいたら
矢を放て
は
来たぞ
よし
矢を放て
はははは
この星の者達では相手にならぬな
皆の者力を使うのじゃ
は
うおおおお
なに、体が動かないぞ
私達も体が動くことができません
満月の日だ
かぐや姫さま
月をみております
どうすればよろしいのでしょうか
権助さま
聞こえますか
かぐや姫さまの声が
遠くからでも話ができます
わかりました
初めて行きました
川に向かってください
はい
川に着きましたね
はい
私も川に行きます
待っていてください
すぐ行きますから
帝様
今まで可愛がってくださって
ありがとうございました
いや
なんとか
かぐや姫を守り通す
安心せよ
いえ
ここでお別れです
それでは
何、消えたではないか
権助さま
かぐや姫さま
最後にお会いしたかったです
どうしてですか
私は満月の日
今日、月に帰らなければいけません
私は月の者です
月の国の姫なのです
最後とは
もう会うことができないということですか
そうです
もう、川で遊ぶこともできないのですか
それ以上言わないでください
かぐや姫さまと
お別れしたくありません
私もです
なんとかならないのでしょうか
お願いします
かぐや姫さま
私も権助さまと別れたくありません
空を見て下さい
舟が見えますね
はい
あの船で帰るのです
そんな
かぐや姫さま
権助さま
どうしてもですか
仕方ありません
行かないでください
かぐや姫さまとは
お別れしたくありません
私も権助さまとお別れしたありません
かぐや姫さま
権助さま
そんなに強く抱きしめてくれるのですか
かぐや姫さまと別れたくないからです
権助さま
私はこの手を放しません
権助さま
かぐや姫さま
わかりました
王様との約束を破りましょう
おい、姫があそこに見える川に移動したぞ
男と抱き合っているではないか
かぐや姫さま
お迎えに参りました
申しわけありません
私はこの星を離れることができません
なぜですか
理由は言えません
もしや
そこの男のためでは
申しわけありません
帰ることはできません
王子様
どうしたことでしょう
仕方ない
無理やりにでも月へ
連れて行くのだ
わかりました
姫様
どうか
この船にお乗りください
嫌でございます
それはいけません
王様からもお叱りを受けます
嫌です
なんと舟が月の方へ向かっているではないか
姫様の力か
皆の者、全力で川へ向かうのだ
は
うおおおお
もっとだ
うおおおおおお
よし、川へ向かって行き始めたぞ
権助さま
私の手を力強く握ってください
決して離さないでください
わかりました
権助さま
目を閉じてはいけません
私を見続けてください
私だけの力では無理です
権助さまの力を借ります
全力で連れ戻すのだ
私も力を使おう
うおおおおおおおお
姫様
舟へ来てください
嫌です
無理にでも
走ってもらいます
権助さま
駄目です
月の力で舟に引き寄せられます
手を決して離さないでください
よし、姫がこっちに走り出したぞ
権助さまも
一緒に走って下さい
はい
決して手を離さないでください
もう、舟のそばです
お乗りください
いやです
皆の者、あとわずかだ
全力をあげろ
うおおおおおおおお
ああ
かぐや姫さま
よし
舟に乗せたぞ
月へ向かえ
権助さま
この手を離さないでください
はい
何、舟が動かないと
うおおおおお
よし、少しずつだが動き始めたぞ
権助さま
権助さま
手を離さないでください
はい
かぐや姫さま
権助さまの力が必要です
手を離さないでください
わかりました
少しずつ動き始めたか
かぐや姫さま
権助さま
走ってください
はい
もっと早く
はい
姫
手を放してください
嫌です
権助走るのです
手を離さないでください
かぐや姫さま
これ以上走れません
駄目です
手を離したら
月へ参らないといけません
なんという
かぐや姫さまの力だ
舟がまた止まり始めたぞ
権助の力のせいか
よし、権助に矢を放て
駄目です
それだけはやめて下さい
それなら
私はここで息絶えましょう
それはいけませぬ
皆の者
全力だ
なんとかしろ
うおおおおおおお
かぐや姫さま
目の前が薄暗くなってきました
権助さま
もう力が入りません
駄目です
権助さま
もう駄目です
ああ、指が離れていきます
権助さま
指を離さないでください
まだ、小指がつながっています
放さないでください
もう少しだぞ
かぐや姫さま
もう
無理です
権助さま
権助さま
ああ、指が離れていきます
権助さま
かぐや姫さま
権助さま
かぐや姫さま
権助さま
完
かぐや姫 虹のゆきに咲く @kakukamisamaniinori
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます