第4話 2人の出逢い ー 雄太side ー ③
「桜井さんって、お料理も得意なんだと思ってました」
『…悪いですか』
桜井さんの座る木製のベンチ。
桜井さんの隣にゆっくりと腰かけて、お弁当箱を開く。
『…料理、得意なんですね』
俺のお弁当を覗き小さく呟いた。
「得意と言うか、好きなんですよ」
ふと、雲1つない水色の空を見上げる。
太陽がギラギラと眩しく照り付けて、つい目をぎゅっと瞑った。
隣に目をやれば、もぐもぐと冷凍のコロッケを頬張る桜井さん。
なぜだか見ているだけでお腹がいっぱいになるような食べっぷり。
大きな口を開けて食べる姿は、普段のクールな姿からは全く見当もつかない。
でも、可愛いななんて思っている俺もいた。
『なんですか』
ぼーっと見つめる俺に、また冷たい視線を向ける。
「あ、いや、良い食べっぷりだなって」
『…ただでさえ短いお昼休憩をおしゃべりで無駄にする気ですか?』
冷たい一言が槍のようにグサッと刺さった。
「…すみません」
思わず苦笑いすると、
『ヘラヘラしないでください』
とまた怒られてしまった。
俺の方が先輩で、ここにいる時間も長いはずなのに、どうしてこんなにしっかりしているんだろう。
俺が頼りない先輩だからか。
なんて、青い空を見上げてまた苦笑した。
でこぼこで正反対なカップルが同棲を始めたそうです。 江宮りゐ @emiya_rii
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