第2話

 この世界には、魔法があり魔物もいる。そして、ダンジョンも存在する。国は5つ存在しているが、国交間の関係は良好である。理由としては、争う必要がないからである。ダンジョンや魔物がもたらす恩恵はかなり大きい。ダンジョンで手に入るものや魔物の素材を有効活用すれば、十分充実した暮らしができる。しかし、ダンジョンや魔物がもたらす被害も、無視できないものである。ダンジョンの管理がおろそかになると魔物があふれ出す危険性がある。そうなると、国に対する被害は尋常じゃない。場合によっては他国に協力を頼まないといけないのである。それなら、侵略戦争するより協力し合ったほうがいいとなったらしい。

 私たちが住んでいるのは、フィリアという国である。この国には、大きいダンジョンが他国より多い。そのためかこの国と国のギルドは、軍や冒険者の育成に精を出している。ギルドとは、どの国にも属さない機関である。少しだけ、前の話に戻るが冒険者とは国に縛られない者たちである。1つの国に執着しないと言い換えたほうがいいかもしれない。戦争を仕掛ける国から冒険者が離れることはよくある話だったらしい。そして、冒険者がいないところにはギルドが必要ないので国からギルドが撤退することが多い。正直、ギルドがないとすぐ国がつぶれるというくらいの脅威を魔物、ダンジョンは持っている。戦争に発展しないのはこの辺の事情もある。

 まあ、軍または冒険者が強ければ強いほど、戦利品が市場に流れる確率が上がり、さらに魔物から商人や市民の安全につながるので国の利益になるわけである。そのため、今回起きた強制転移はこの国では珍しくないのである。つまり国が攫って、鍛えてるわけである。強制転移の対象の条件はこんな感じである。


一・国の評価基準を満たす戦闘力を持っていること。


ニ・この行事に参加したことがない者。


以上を満たすとこの強制転移対象になり、そして拒否権は存在していない。危険な魔物がすむ地域に十分な準備をさせてもらえないのに、強制的に転移させられる。この理不尽な行事が行われているのに周りから批判が起こらないのにも理由がある。まず、この対象になるのが独り立ちしている冒険者であるため。次に、冒険者の行方が分からないことがこの世界では珍しくないから。そして、一番大きな理由がこの出来事が噂程度のまゆつばな話・・・・・・・・・・だからである。

 もちろん、これは攫われた冒険者にもメリットが存在する。デメリットは、いつもより死ぬ確率が高くなること。メリットは、国もしくはギルドの確実な後ろ盾ができること。強い冒険者または軍人たちから直接指導を受けられる。その他いろいろな面で優遇されるなどがある。


閑話休題


さて、本題のなぜ冷静なのか。これはいたってシンプルな理由だ。親族が関係者で話を軽く聞いていたからである。てか、関係者というよりほぼほぼ首謀者だ。そんなわけで冷静なんですよね。そもそもの話、意味不明な状況に陥ったとき冷静にならないと死ぬ確率が上がるわけだしね。冷静なことに越したことはない。


「さて、どうしようか。これ動き出してもいいのかな?」


「どうだろ。何かしら説明が・・・あるみたいだね」


「ね。なんか繋がったね」


脳内に機械じみた声が響く。


『みなさん、おはようございます。さあ、さっそくだけど君らにはゲームをしてもらおうか』

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記憶の欠片 @yori5155

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