第6話 鮎よりも浅く

 あさい眠りから覚めて、朝冷あせで体がしゃっこい。シャワーをあびて学校に行く。お母さんは仕事でいなかった。


 席について鞄をかけると隣の子がまた変わっていた。うつむいていた顔がこちらを向いて、私は全部思い出した。


「僕、転校してきたポロトスでス」


「じゃポロ君、私はハナコ。よろしくね」


「よろしくでス。ハナコさん」


「ハナでいいよ」


 差し出された4本指を握った。メガネの奥の黒い瞳、丸顔。ペッタリとした七三の黒色。私はもう逃げない。むしろ歩み寄る。

 

 唐突だけど、ポロ君のほかにいる異星人を紹介しよう。虫を食べるヤランちゃん、美人だけど口が怖い。足がめっちゃ速いマラシーは性別がないらしい。見た目はまあ獣。空を飛ぶマル君、別名サボタージュ君。座ってられないらしい。


 なんでポロ君と出会ったときからやり直しになっているかわからない。ていうか生きてるのが意味わかんないけど。大人になれないなんてもう言わない。


 計画を立てよう、仲良し大作戦。今まで以上に仲良くする。周りの子も巻き込む。その二、パーティー大作戦。クラスメイトや先生、親もまぜておさけものんで、は手に楽しむ。定期的にパーティ、テーマパーク、ゲーム大会、スカイダイビング、バンジー、登山、ピクニックをする。これできっと楽しくて侵略をやめる。



 この狭い学校で出会えたことが奇跡

 もうながれに逆らえない

 それでも悪あがき

 子どものせいいっぱい

 私が生きて

 ここにいるだけで奇跡だから

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鯨よりも深く 新吉 @bottiti

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