未来の宇宙
バブみ道日丿宮組
お題:少年の宇宙 制限時間:15分
未来の宇宙
少年が見る宇宙はひどく汚れてた。
そこがかつて人間が暮らしてた地球と知れば知るほど、少年は嫌悪感を抱いた。
「誰か一人でもいればいいけど」
「どうかな。大体みんな地球を捨てたからもう動物すらいないよ」
少年が声に驚き後ろを振り返ると、同じシャトルで暮らす少女がいた。
「緊急着陸を何回してわかってると思うけれど、とても住めるような場所じゃなかったでしょ?」
「スーツをきなきゃ汚染で死ぬレベルだね」
少年は思い出すようにまた地球を見る。
地球は青かったと語られたのははるか昔ーー今は真っ赤な地球。
「爆発を何度か起こして酸素を生めば、いつかはもとに戻るっていうデータは送られてきてるよ」
「一度壊した星をまた破壊するの? 本当に人間ってのは愚かだね」
「そうね、私たちも産まれた場所はこのスペースシャトルだし、適当な感じがあるわ」
少女も少年が見てる地球を眺める。
誰が望んでこんな醜い世界に変えたのだろうか。
そして子どもが産まれるためだけに存在し続けるスペースシャトルが誕生したのはなぜなのか。謎は謎を呼ぶだけで、少年たちの答えは返ってくることはない。
それは生き残った人類が決めたルール。
他のスペースシャトルとのコンタクトは、宇宙ステーション内のみで他は禁止。
つまりは、人が大勢いるところ以外では会話は産まれた相手と過ごすしかない。そのペアとは一生を過ごす伴侶として設定されてるというか、もはや恋人として意識されるようにDNAが改造まで施されており、赤ん坊は産まれる前に宇宙ステーションに取り上げられる。
子どもと過ごすという未来はない。
「地球で過ごしていきたいけどな」
「そうね。私の子どもたちがいつか大地に立てる日がくるといいけど」
少年たちは手をつなぎ、スペースシャトルを舞う。
「二人目だったっけ?」
「うん、名前だけはつけられるから、考えなきゃね」
楽しそうに笑う少女の髪を少年は優しく撫でる。
「僕たちもまた遺伝子に戻る日が近いね」
「うん、来世でも私と仲良くしてね」
何度も少年たちはキスをして、地球をバックに抱き合った。
未来の宇宙 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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