昔仲の良かった親友を男だと間違える訳がないと思ってたら間違えて親友は金髪美少女になっていた。
天草 仙
再開
ぎゅっと。胸が締め付けられ、心臓の鼓動が早まっていく。なぜこうも緊張しているかと言うと後数分で転校先の高校へと向かわないと行けないのだ。そんなこと?と思うかもしれないが生まれてこのかたコミュニケーションを円滑に進められたことがない僕からすれば、新たな環境と言うのは拷問レベルにキツいところがある。僕は不安を和らげる為自分の部屋の棚に置いてある思い出の写真を眺める。
「モネの奴元気にしてるかな~」
モネと言うのは僕の人生の中で唯一親しくなった男友達で兄弟のような存在だ。
彼とは学校は違ったが近所の公園でゲーム好きな事で仲良くなって、それからはほぼ全ての時間を彼と過ごした。
まあ、小学校卒業と同時に僕の親の転勤が決まって離ればなれになったのだが。
もしかしたら転校先の高校は前に通っていた小学校にも近いのでもしかしたらモネがいるかも知れないな。と僕は不安の中に軽い期待を入り混ぜ高校へと向かうのだった。
「はーい。お前らー。転校生だぞー。」
と目鼻立ちの整っているザ・大人の女性!と言うような容姿をしている女教師がこんなセリフを発し僕へとクラス全員の視線が向く。
「えー。なんか、可愛くないー!!」
「 わかるー。甘えさせてあげたいタイプだよねー」
とクラスの女子が僕の方を食い入るような視線で凝視してくる。僕は生まれつき女性に近しい容姿をしているので仕方がないといえばそうなのだがやはりまだ慣れない所がある。
「えーと...ア,アオイトモウシマス」
しまった。声が裏返ってほぼ周りに聞こえないくらいの声量になってしまった。
「仕方がない。もう1回いえー。」
と女教師が少し呆れながら僕に言う。
よし!次は大きな声で行こう。そう決意し、僕が大きく息を吸おうと視線を上に上げると窓側の後の席で瞳に光のないどこか虚ろな目をしているクールな金髪美少女と目があった。
まあ、すぐ気恥ずかしくなって目を逸らしたのだが。
「な...波風葵です!仲良くしてください!」
と僕が告げると先程まで瞳に光を宿していなかった金髪美少女の瞳に光が蘇り僕の事を慈しむような瞳で見つめてくる。
「あ、あおなのか!」
「え...ど、どちらか様ですか?」
そう僕が答えると金髪美少女は少し恨めしそうな表情を浮かべ頬を膨らませながら言う。
「モネだよ!あおの人生で一番の親友のな!」
あれ?モネって男じゃなかったっけ?いや僕がそんなラブコメにありがちな主人公のようなミスをするはずがない!
「なら、僕の好きな女性のタイプは?」
「黒髪ロングで清楚系。料理が出来ればなおよし!」
ッッ。これは本物だ。
「本当にモネなのか!?」
「だから、そうだって行ってるだろ!親友!」
「あ、好きなタイプの言い忘れてたけど、おっぱいの大きさは...」
「お、おいバカ!」
僕は急いで彼女の唇の人差し指で塞ぐ。
「お二人さんー。仲が良いのはわかったからイチャイチャするのは休み時間にしてくれ。」
と女教師がニマニマしながら僕の肩を叩き呟く。
「あ、イチャイチャ !!ナンテシテナイデス.」
女教師はさらにニマニマしながら
「分かったから座れ。」
と言ってきたので僕たちは自身の席へと向かったのだった。
昔仲の良かった親友を男だと間違える訳がないと思ってたら間違えて親友は金髪美少女になっていた。 天草 仙 @kamuidyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。昔仲の良かった親友を男だと間違える訳がないと思ってたら間違えて親友は金髪美少女になっていた。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます