第2話

「では婚約した後、私のお願いを三つ、叶えてください。どんな願いでも、です」


「どんな願いなんだ?人殺しとかは無理なんだが……」


人殺しですって?そんなに恐ろしい願いをするつもりはないのに……人のことを何だと思っているのでしょう。相変わらず失礼な人ですね。


「ご安心ください。非人道的な願いではありません。レナードにとっては簡単なことです」


「そ、そうか……分かった。婚約したら願いを叶えてやろう!」


……承諾しましたね。これで一安心です。もう少し我慢すれば平穏な日常を取り戻せることでしょう。


「ありがとうございます。ではもう一度、婚約しましょう」




今回の婚約は二度目という事で、密やかに行うことになりました。王家の人間が、何度も婚約と破棄を繰り返しているというのは外聞が悪いですものね。


結婚するまで公表しないというのは、私にとっては都合が良いですわ。ただでさえ「王族に婚約破棄された可哀想な女」という憐みの視線が痛いのに、これ以上余計な噂をされたくありません。




二度目の婚約をした三日後、レナードに呼び出され、王宮にやってきました。ご機嫌なレナードが私の願いを聞いてきたのです。


「そう言えば、君の願いとは何だったんだ?」


「そうでした。一つ、王室から出ていきなさい。二つ、婚約を破棄してください。三つ、私に二度と近づかないでください。この三つが私の願いです。ちなみに、あなたが王室から離れることは、国王陛下も承認済みです」


「え……そんな……」


「どんな願いでも聞いてくださるのですよね?だから婚約したのですよ?レナード、私のこと愛しているなんて嘘ですよね?私よりミラが良く見えたからそちらにフラフラ、ミラがダメならこちらにフラフラ。なんでも思いつきで行動しすぎると、痛い目にあいますわよ。……今回のようにね」




茫然と立ち尽くしているレナードを置いて、私は家に帰りました。後の処理は陛下が何とかしてくださるでしょう。私にレナードをあてがった陛下にも、少しは働いていただきましょう。




こうしてレナードはどこかへ去り、私は平穏な日常を取り戻したのです。しばらく結婚なんてうんざりですわ。

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もう一度婚約したいのですか?……分かりました、ただし条件があります @moso_ko

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