本作品は、母と娘という、一番近くて遠い関係性の闇を描いたサイコホラーの傑作だ。
行き過ぎた愛情が生む悲劇を、リアルに、そして、ホラーテイストで描いた物語は、読む者の心に深い闇を残す。
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この小説の魅力は、歪んだ母娘関係の恐ろしさを、リアルかつ奇怪に描いている点だ。
行き過ぎた愛情は時に毒となり、過干渉な母親は娘の人生を蝕んでいく。
母の呪縛から逃れるために娘が選んだ方法は非常に衝撃的だが、追い詰められた娘の心情も丁寧に描かれており、読者をぞっとさせつつも引き込んでいく。
幼少期、家出後、殺害後、結婚式と時間軸が行き来する構成も秀逸で、サスペンス性を高めている。
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ラストの結婚式のシーンは、恐ろしさの中にも、娘の解放感と母への決別の思いが滲み、印象的だった。