第1章"普通"の高校生

朝目が覚めて、カーテンを開ける。顔を洗って、歯を磨き、朝の身支度。これが僕の普通。でもこの普通も飽きてきた。


そろそろ学校に行かないと、本を読む時間が無くなってしまう。



学校へ着き、教室のドアを開けると、普段はぎりぎりに教室に入ってくる馬鹿な子が

いた。


「ねえ、話がしたいんだけど」


どうせ昨日の事だろう。


「別にいいけど、手短にね。」

「…昨日の事なんだけどさ、ごめん。私は原くんのために何もできないかもしれないけど、少しぐらいなら話を聞くことはできるよ?」

「君に関係ないでしょ。僕は自分のことを自分で決めただけだよ。」


なんなんだ。何度も僕の中に入ってこようとして。


「でも、いなくなっちゃいそうな人のこと、ほっておけない。」

「君が何かしたところで何も変わらないでしょ。」

「…私は、原くんの事何も知らないけど、原君の事が知りたい。」


はぁー。


「じゃあ、僕にも君のこと知る権利はあるよね?」

「え、うん!何でも聞いて?」

「…なんでそこまで人のことに口出しできるの?」

「んー。」


君は悩んだ後に僕の瞳をまっすぐ見て


「誰でもじゃないよ?なんかね、原くんは、ほっておけないの。」

「何それ」


そう言って原くんは笑った。


そこから教室にほかの生徒たちが来たので、会話はここで終了した。





結局原くんの事を聞けなかった。なんか、いつも流されてる感じがする。

また後で原くんに話しかけよう。






6時間目の体育。緊急事態発生。私は体育で使ったものを倉庫片付けに来て、棚に置いていると、扉が閉まり、鍵をかけられる音がした。


「え、待って!!!」


私は倉庫の中から叫んだが、外には聞こえなかったようだ。


「…終わった。こんなとこで一人で、しかも真っ暗。怖すぎる。ねぇー!!!!誰か!!!!いませんかーーー???」


必死に叫んだけど、誰もいなそう。もう6時間目終わったし、部活の人来るまで待たないといけないの?


「無理。しんどい。どうしよう。もし誰も来なくて今日1日ここで過ごすことになったら。」









「おーい。みんな揃ったな!これで終わりまーす!しっかり手洗えよ!」


なんでこんなに体育教師って声がでかいんだ。

さっさと帰ろう。


「ねえ!原くん!」


後ろから女子たちに声をかけられた。誰だよ。


「ん、なに?」

「愛がいないの!見てない?」

「え、いない?先に戻ったとかじゃないの?あと、なんで僕に聞くの。」

「だって、今日体育終わった後に原くんと話するって言ってたし。」


え?そんな話知らないんだけど。


「…とりあえず、僕も探してみるから、君たちは本当に先に戻ってないか更衣室探してきて?」

「わかった!ありがとう!!」


そう言って女子たちは走っていった。

どこに行ったんだよ。んー。案外どこかに閉じ込められているとか…

トイレ…は人が頻繁に出入りするからないか。…倉庫、行ってみるか。


倉庫の扉を開けようとしたら、鍵がかかっていた。

さすがにいないか。と思ったら中から物音がした。


「助けてください!片付けしてたら閉じ込められちゃったの!!」


はぁ。まじかよ。ほんとにいた。


「君って、どこまで馬鹿なの。ちょっと待ってて。職員室からかぎ取ってくるから。」

「え、原くん!?」


聞こえるって言っても誰もいないシーンとした体育館で少し聞こえるくらいだったから、閉められたときに気づいてもらえなかったのか。

職員室で訳を話して体育の先生も付き添いで来て、ドアを開けた。


「よかったー。出れた。怖かった。」


出てきた馬鹿な子は、涙目になりながら出てきた。


「日向ー。俺が最後に確認しなかったのが悪い!!ごめん!!!」

「最悪。今日1日ここで過ごすことになるかと思った。」

「本当に悪い。ほら、原、日向のこと更衣室まで送ってやれ。」

「え、なんで僕が。」

「いいから!!!」


この、横暴教師め。



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ゆいとあい。 結人 哀 @Ai-0000

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