「あんたが、罪人としてここに送られたわけじゃないことが分かった。おめでとう」
周防分区長のメーゼと名乗る女性に会った主人公は、自分の状況がわからなかった。
終点日本。
聞いた事のない地名に、自分がなぜ列車に乗っているのかすらわからない。
この世界の常識も、自分が何者なのかも分からなかった。
断片的に得られる情報。
ここは能力者の自治地区であり、権力者の流刑地。
権力者とは――自分を含める人類。常権を持つもの。
立場を変えると、変わる見方と名称。
目の前の能力者は、権力者に憎悪と侮蔑を抱いている。
怒涛に入ってくる情報と、彼女たちが向ける憎悪に、きっと読んでいる人は困惑しているでしょう。
それは恐らく、主人公が抱いている困惑と同じではないでしょうか。