借りたい。借りたくない。
一色 サラ
・・・・・
公子は、平日の昼間でパートの終わりに、図書館に寄った。本を探しながら、空席を探す。ただ、どこもかしこも人で埋まっている。コロナになって、席がほとんど封鎖されて、少ない席が人で埋まっている。
まあ、学生は仕方がないが、おじさんが多くいることに困惑してしまう。この人たちはなんで、わざわざここに来るのだろう。席に腰を下ろしたい公子からすると、うんざりしてしまう光景だ。
図書館の受付で、「はやく、やってくれないかな」と声が聞こえてくる。声の主は男性で、年を取っているように聞こえた。受付カウンターを見ると、眼鏡をかけて、ベージュのシャツに爛れたズボンを履いているおじさんが、受付の女性を何か言っている。
なんで、年を取るとあんなに傲慢になるのだろう。
ああいう、おじさん達は、年齢を重ねて待つことに文句を言うようになったのか、それとも、元々のああいう性格なのかは分からないが、あんな風にはなりたくないなと公子は思う。
公子も一度、本を探していて、どうしてもどんな本を読めばいいのか分からず、相談カウンターに相談して探してもらったことがある。その時、少し待たされた。どのくらい待ったらいいのか分からないので、何も言えなかった。それに、無かったらで、別に構わないという程度だった。ただ、検索してくれた人が「書庫にあるので、15分後に来てください」と言われた時、何か不愉快だった。
「書庫なら、別にいいです」と断ったことがあった。今思えば、他者すれば、傲慢に見えてるのかもしれないと、気づいてしまって、恥ずかしくなってしまって、そのまま、何も借りずに図書館を出てしまった。
借りたい。借りたくない。 一色 サラ @Saku89make
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