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風が暖かくなってきたね

もう少ししたら

ベランダに小さなテーブルと椅子を出して

グラスに入れた琥珀酒に梅の実を浮かべ

僕達の夢の話をしよう


夏至の頃やってくる悪魔の吹く笛の音が聞こえたら

一年で織り上げたタペストリーを窓に掛け

ブリキのランプにシトロネラのキャンドル灯して

星を繋げて道標を描こう

三日月の船で来る彼らが迷わないように


いつか見た流れ星追いかけて

逆さま回り時計の針摺り抜けて

月の虹かかるあの場所まで

息が切れるまで駈け続け


毎晩ポストを覗き込むよ

招待状が届いてる気がして

どこまでも往ける切符付きの


優しい夜に君がいなくなる夢をみた

目が覚めた後の夢のように辿れない足跡さえ残さずに

こんなときが来ることを僕は知っていて

知っている僕はずっと悲しかった


夢から覚めた僕は安心したよ

だってはじめからなくすものなんて僕にはなかったから

風が暖かくなってきたね

さあ、僕達の夢の話をしよう

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中二病継続中の二十歳前後に書いてた詩。 石井 行 @bahnhof-

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