柿崎臣は、二十六歳の会社員。二十六ともなると恋愛経験の一つや二つあるわけですが、今のところそういったことには消極的。だけど、気になる人はいるのです。
その気になる人というのが、同じ会社に勤める朝比奈里桜。しかし彼女の場合、柿崎君に輪をかけて恋愛には消極的。というより、まだまだ恋を知る手前といった感じでしょうか。
そんな二人を主軸に話が進むわけですが、これではもちろん、テンポよく恋が進展するはずがありません。焦れったいほどにゆっくりで、手探りでお互いを知っていくもどかしさ。しかしそれがマイナスかというとそうではありません。むしろその焦れったさ、もどかしさがいいのです。
ふとしたことで距離が縮まる度に、相手のことを知る度に、自分の中の気持ちが揺れ動く。それがまるで幼き日の初恋かと思うくらいにピュアピュアで、読んでいるこっちまでドキドキが、そして読み進めるのが止まりません。
しかも、このメイン二人以外にも重要人物の恋が書かれるのですが、こちらもこちらで目が離せません。本当に結ばれるか、結ばれるとしたら誰と誰か? そういった意味のドキドキでは、メイン二人以上かも。
恋する楽しさ。好きな人がいるという幸せを、これでもかというくらいに真っ直ぐに書かれた恋物語です。
学生が主人公のラブコメは星の数ほどありますが、こちらは社会人の男性が主人公のラブコメ!
学生ものとは一味違う舞台設定で、読んでいて新鮮でした☆
社会人が主人公なのですが、主人公もヒロインも恋に奥手なキャラなので、かなりピュアな恋を育んでいきます。
なので、どなたでも楽しく読める内容です。
見どころとしては、主人公の周りの人達の恋愛模様を追うのも楽しいと思います。主人公やヒロインに影響を受けながら、恋が終わったり、始まったり、恋愛観が変わったり。なかなか味わい深かったです!
ちなみに私は、酒井さんが好きでした☆
過去の出来事のせいで、ちょっぴり恋に臆病になっていた柿崎さんは、同じ会社に勤める里桜に恋をする。里桜さんも彼女なりに様々な事情があって……。
スローペースで進んでいくふたりの恋模様は、焦ったいのにドキドキしてしまいます。
ふたりの心が、恋をすることで一歩ずつ成長していく過程がとてつもなく愛おしいのです。思わず「頑張れ」と応援したくなるのです。
柿崎さんと里桜さんを取り巻く人達の恋も、なんとも不器用でもどかしいっ!
でも、彼らも柿崎さんと里桜さんの恋によって少しずつ動き出していきます。
あなたも共感する登場人物がきっといるはず。恋に臆病になっている皆様、キュン不足の皆様におすすめしたい作品です。