僕たちのお姫様②

「「「おやすみシャル」」」


…僕はいつも選ばれない。


王様は、僕が必要って言ってくれるけれど、人間は僕を選んでくれない。


この前も、能力はとても小さいけれど、僕の力が使える子が久しぶりに現れてくれた。僕は期待して、裏切られたときにショックだから、気になって会いに行ってしまった。でも、やっぱり行かなければよかった…。


「いやだ!絶対にいやだ!」


「大丈夫よ。とても小さい能力だし、あなたはどちらかというと風の魔法の方が能力は高いでしょう?だから風魔法を頑張って高めていきましょう?」


「・・・うん。クラスで1番の風魔法が使えるように頑張るね!」


「ええ!」


親子の何気ない会話。


『・・・・・』


もう聞きなれた会話。どうして僕ではダメなんだろう。僕だって役に立ってみせるのに…。


僕は泣きながら森へ戻っていった。戻ったら王様がいた。王様は、言わなくてもすべて知ってるようだった。優しく、おかえりって言ってくれたけど、僕の悲しみは癒えなかった。


また、僕の力が使える子が生まれたみたいだ。今度はずいぶんと能力が高いみたいで僕は驚いた。でも、そのぶん嫌がられるのが怖くて会いに行けなかった。でも、王様がなんでか命令だから行けっていうから、頑張って僕はその子に会いに行ったんだ。


会いに行ったら、髪が綺麗なプラチナのかわいい赤ちゃんが寝てた。僕は可愛くてつい、ほっぺたを触っちゃったんだ。そしたらその子が目を覚ましちゃったんだ。僕は慌てて隠れようとしたけれど、よく考えたら僕を見れる人間は少ないことを思い出した。でもその子は僕が見えてるようだし、何か赤ちゃんなのに色々理解してるような目で不思議な気配がする子だった。


その赤ちゃんはいきなり、きゃっきゃっとそ笑いだした。僕はその子の思ってることが知りたくて、いけないことだと分かっていたけど、その子の頭をさわった。すると流れてくる感情は、僕と友だちになりたいこと、会えて嬉しいとか、たくさんの嬉しい感情が伝わってきた。僕はいつの間にか泣いてしまっていた。赤ちゃんは小さな手で僕の涙を拭いてくれた。そして、ニコって笑ってくれた。その笑顔はいままで見た何よりも美しかった。だから、僕はその笑顔を何ものからも守りたいと初めて思った。


僕は精霊の中でも、生まれが特殊で血統も精霊の中では上位だった。けれど、力が弱く、まだ下位精霊でしかなかった。


でもね、必ず強くなるからね。待っていてね。きっと、君を守るために強くなるから。そしたら、君だったら僕を選んでくれるだろうか。


僕は信じたい。だから君のために頑張るからまっていてね、僕のお姫様!

 

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転生令嬢の異世界再生事業! sao @kotonesao1986

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