8話 邂逅

警察改め、女刑事こと、木谷さん。彼女は20代という若さにして、一つの部署を持っている。腕っぷしが強い。一般人は一撃で沈む。怖い。そして、木谷さんは話をきりだした。


「少年。君はあのビルでの事の当事者なのだろう?ちょっと教えて欲しいことがある。」


長々と喋られたので、要点を切り取る。


簡単に言うと、俺が何と戦っていたのか。だそうだ。順序立てて、説明しよう。


俺が、あの化け物を倒して気絶した後の話だ。


あの後、渋谷の元に、黒いパーカーを着て、フードを深々と被った人が来たそうだ。

そして、


『警察を呼んで。そしたら、木谷という人に担当してもらうように頼んで。そして、彼が起きたら、武器などは回収済みで会社に送ってある。そう伝えて欲しい。』


それだけ言うと、歩いてどこかへ行ったそうだ。


そして、すぐに警察に連絡。木谷さんに頼み、捜査が始まったそうだ。


しかし、巨大な死骸はあったが、焦げており、元がなんなのか分からないほどだった。


だから、俺の元に来たそうだ。


しかし、俺もわかっていることには限度がある。


一応、知っていることは話した。


心臓が急所であること。複数の動物の面影が見てとれたこと。


それを聞くと、木谷さんは、署に帰っていき、渋川は業務に戻った。渋川には明日にも退院する旨を話した。渋川は了承し、俺は寝た。二度の投薬のせいできつい。ぐっすり、眠れそうだ。



そして、日曜日、腕にプロテクターを巻き、退院する。そして、会社に愛車のバンに乗り、会社に戻る。社長にあった事のあらましを話し、会社側でも調査してもらうように計らってもらった。




月曜日、学校に行くと、まだ異物を見るような目はあったが関係ないので無視させてもらう。しかし、皆一様にざわついている。なんでだ?そんなことを考えていると、


「転校生が来るらしいですよ?先輩」


先輩なんて呼ぶやつは一人しかいない。


「その呼ぶ方はやめろ。で、誰なんだ?転校生って。」


「女子らしいですよ?名前はまだわかんないです。」


そうか、


「てか、机の上に乗るな。机が泣いてるぞ。重い重いってな。」


「先輩。体重の話は良くないですよ?」


先輩呼ぶやめろと言っているのに学習しねーな。バカは治らないのだろう。残念なやつだ。


かわいそうに、と思っていると、先生が入ってくる。


「転校生を紹介するぞ。男子、喜べ。めちゃくちゃかわいいぞ。」


うぉーー。男の雄叫びが聞こえる。むさ苦しい。


「入ってきていいぞ。」


入ってきた女子は本当に可愛かった。


「星海叶です。よろしくお願いします。」


黒板に名前を書き、振り返って簡単に自己紹介する。どこかで聞いたことある名前だ。


すると、彼女は俺を一瞥し、教壇を降り、近づいてくる。そして、


「失礼ですが、名前を聞いてもいいですか?」


「三谷蒼です。」


彼女に目を合わせず、応答する。すると、机に水滴が落ちる。


反射的に顔を上げてしまった。


すると、大粒の涙を流す彼女の顔が見える。なんで泣いてるんだ?


すると、机越しに俺に抱きついてきた。


「え?」


間抜けな声が出てしまった。そして、次に男子の遠吠え。


「「「「なにぃーーー」」」」


あっ。思い出した。こいつ俺のはじめての仕事の保護対象じゃねーか。


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高校生活を彩れ。しかし、これは任務だ 笹篠巴 @daiagunesu

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