大人の特権. ▼2


公開日:2021. 7/23(金)

 人類が「子ども」「大人」「お年寄り」で構成されるとしたら、いちばん進み続けなきゃいけないのが真ん中の宿命。






大人になったら

なんだってできるんだと

どこか本気で 思ってた


でも ちがうんだよな

できることは増えたけど

できないことも与えられる



おれたちは知ってしまった

気づけば学んでしまってた

白い目で見られるんだってこと


人目を気にせず泣いてみたい

そんなの嫌だとわめいてたい

だいじょうぶ? って言いたいのにさ



会社では泣けないよな

嫌だなんて言えるもんかよ

他人に優しくってどうやるんだっけ‥‥


ああ こどもに戻りたい

仕事なんてしたくない

ずっと日曜日にしてくれよ


昔 遊んでたおもちゃは 消えた

自分が甘えていた家族も 遠い

つるんでた奴らの名前なんて覚えてない

必死に極めたゲームは失くしたまま

結局おれには何が残ったんだろう


できないことが増えた

遠ざかったものがあった

大人になんてなりたくなかった



……なんていったって、 なあ

聞こえてるかい 居座ってるオマエこどものおれ



それでもここまで歩いてきたんだ

登ることはやめなかったんだ

おれは惰性でも進んできたんだ


誰かに褒められやしない

ストレス溜まる生き方しかできない

ああ 二日酔いで頭が痛い‥



でも やってやろうじゃないか

全速力で走らなくてもいい

時にはそこそこ 力抜いて

うんざりする色のセカイを

笑っちゃうくらい長い道をさ

一歩ずつ 踏みしめていこうぜ

それって 大人の特権だろ?





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詩集 湊雲 @moln

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