安楽町には気をつけろ!!

ヒナタジャンクション

第1話 三好のモーニングルーティン

 ドゴーン…

「…うう…何今の…くさっ!?」

午前6時頃、三好正義みよし まさよしは「爆音」と「爆臭」により目を覚ました。

明らかな化学薬品の匂い。三好は起きて早々に鼻を襟元で覆うことになった。

「また萩本はぎもとさんか…」三好はここ安楽町あんらくちょう

ど真ん中、安楽荘あんらくそうに住んで3ヶ月になる。

 安楽荘には訳ありの人間しかいない。三好の部屋の左隣には、先ほどの騒ぎの張本人、萩本が住んでいる。

ちなみに言えば、右隣にはゴリラのナース、通称ゴリナースとその助手がいる。アパートを正面から見た左端には、なぜか薬局がひっついているのだ。アパートは3階建てで、9つの部屋があるのだが…慣れているのか、三好以外の住人はいちいち文句をつけない。

三好は萩本の部屋の呼び鈴を鳴らした。

「なんだよ朝っぱらから呼び出して…」

「あなたに言われたくありませんよ!そもそも爆発したみたいな音で起こされたのはこっちですし!今回もどうせ萩本さんのしわざでしょ!?」三好はせっかくの土曜日に叩き起こされたからか、妙に声を荒げている。

「仕方ないだろう?こっちだって暇じゃないんだ」萩本は天然パーマをいじりながら、無造作に伸びた髭の目立つ口をあくびに使う。

「残念でしたね…こっちは暇なんですよ!僕だけじゃない!休みの日の6時なんて、みんなまだ寝てるに決まって…」

「どうしたの大きな声出して」「どうしましたか?三好さん」「なんやワレ朝っぱらからギャーギャー言うて」

 例のゴリナース、三好の真上に住む九条くじょう、九条の左隣に住む工藤という男勝りな女、それらがぞろぞろとやってきた。

「私は作業してたから大丈夫だけど、まだ寝てる人もいるだろうしあまり大きな声を出してはダメよ」「ゴリナースさんの言う通りです。僕は読書をしていましたけど、寝ている人もいるはずですので…」「2人の言う通りや!現にあたいはあんたのデカい声で起こされたんや!」3人が口々に言う。

「あんまり迷惑かけるなよ。み・よ・し・さん」萩本がとどめをさす。

「…え…なんか僕が悪いみたいに…あれ…?」

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