私たちの恋のキューピットは義妹でした。

「そんな時だったよ。フィンと王宮のお茶会で初めて会ったのは・・・


あの時のフィンは周りと距離を置いていて僕と同じような子なんだと感じたんだ。


だけどフィンは、父親の立場に自分の行く末を左右されるような不安定さを持ち合わせつつも自分の足で立っていると感じたんだ。自分には無いフィンの強さがどうしても羨ましくてそれと同時にフィンを守るためには今の自分と婚約してはダメだと思ったんだ。

今までの自分は貴族であることを忘れて義務を果たそうとせずに親の影で逃げ回っているただの弱虫だったんだってね。


だから、僕は自分の足で立つための知識を取り入れるために隣国に留学を決めたんだよ。


フィンの事は手放したくなかったから、君の父上に婚約者を探すのは少し待ってくれとお願いしたんだ。


子どものワガママなのに聞き入れてくれて私が留学から帰ってきてからすぐに婚約が締結されることになったんだ。」


次々に明かされる幼少期からの思いを

私は泣きながら受け止めることになりました。


「それと、僕は君の事が好きだよ。まだ10歳の子どもだけどこの恋は必ず愛に変わると思っているんだ。


僕が君の前に座っている時に話が出来ないのも声を掛けないのも自分に自信が無いからなんだ。


8歳の頃に婚約したけれど、婚約するまでの間も婚約してからも君はどんどん教養やマナーを身につけて大人に近づいていっているのがとてももどかしくてね・・・」


それは私の方なのに・・・


「私はエル様が思うような素晴らしい人間では無いと思います。


エル様の目の前にいるだけで呼吸が早くなってしまって思うように喋れないし笑えません。


淑女であればどんな時でも冷静にいるのが当たり前なのにエル様の前ではそれが出来ないのです。


私もエル様のことが好きです。

出来ることならこれからも

エル様の隣に立つのは私でありたいです。許していただけますか・・・?」


するとエル様は蕩けるような笑顔で

こちらにやってきて

優しく抱き寄せてくださいました。

とても温かくて幸せです。


「エルお兄たまっ、お姉たまっ!!仲良しになった!エミリーも仲良くする!!!」


今まで静かに私たちの話を聞いていた

エミリーも我慢が出来なくなったのか

私とエル様の間に入るようにやってきて

満面の笑みを浮かべています。

誰がなんと言おうと、

私とエル様の恋のキューピットは

間違いなくエミリーです。


血は繋がっていないけれど、

とても可愛くて優しい私の妹。


ありがとう、小さな天使様。【完】


━━━━━━━━━━━━━━━


今回はエル、フィン、エミリーの

幼少期のエピソードを書きました。


多くの感想などが寄せられて

続編を希望する声が多ければ

学園入学後などを

新作で書ければいいなと思っているので

ぜひ感想をお寄せください!


ここまでお付き合い頂きまして

ありがとうございました♡

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いきなり義妹が出来ましたが、可愛いし虐める気にもなりません!〜私の恋のキューピットが義妹!?チートすぎませんか?神様〜 @sh1onm

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