婚約者の本音が明らかになりました。
「フィルレイン」
グルグルと色々な事を考えていると
名前を呼ばれて視線を目の前に向けると
エルイン様がこちらを真っ直ぐに
見つめているのでした。
「ど、、どうされたのです?」
名前を呼ばれたことに驚き、
吃りながら聞き返すことが出来ました。
「フィンと呼んでもいいだろうか?僕のことはエルと呼んで欲しい」
いきなり愛称で呼び合うことを提案され
再度、驚いてしまいました。
しかし、とても嬉しい提案でしたので
お受けすることにします。
「かしこまりました。では、エル様とお呼びさせていただきます」
するとエル様は不服そうな顔で
とんでもない発言をしました。
「いや、違う。エルだ。フィンとは対等な立場で居たい。これから先、数十年の人生を共にする伴侶に対して敬称などつけなくていい。」
「伴侶ッ・・・!?!?!!!?」
どうやら今日は驚かされてばかりです。
エル様はこの婚約をそのうち
解消すると私は思っていたのに
そうではないような言い方をされます。
困惑してしまい、
つい聞いてしまいました。
「ぇ、、エル様はこの婚約を解消するつもりだったのでは無いのですか・・・お茶会に毎回足を運んでくださるのはとても嬉しい事なのですが、今までのお茶会ではお互いのとこを話したりすることも無く義務的に過ごされているように感じておりました・・・」
するとエル様は
驚いたように声を上げました。
「そんなことは無い!!解消など絶対にするものか!!!!僕の婚約者はフィンだ。いや、フィンしか居ないと言っても過言ではない!」
思わず嬉しさのあまり自分の表情が
緩んでいくのが分かります。
私は、淑女教育を重ねる度に
自分本来の表情を無意識のうちに
抑え込むようになっていたのです。
そのせいか、
怒っているようだと言われます。
エル様から見てもそうなのでしょう。
「エル様は私でいいのですか?」
「いや、フィンがいいんだ。君はなぜ僕が隣国に留学をしたのか知っているかい?」
「いえ、存じ上げません・・・」
重い口を開くようにエル様は順を追って
これまでのことを話し始めました。
「僕は辺境伯の息子として生まれたが、三男であるが故に跡を継ぐことは出来ない。そんな自分の存在価値を見い出すことが出来なくなってしまっていた時にフィンの父上から婚約の打診があったんだ。
その時の私に求められていたのは辺境伯との繋がりと自分の後継だということはすぐに分かった。
自分の表面しか見ずに婚約を結ぼうとする親たちに嫌気がさして半年ほど逃げ回ったんだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます