最終話

「来るわけないよな」

「当たり前だ。急な話だもんな。魔王の仕事もあるんだし、そりゃぁ無理だ」

「そろそろ出ないと…。てか俺独り言多すぎ。ははっ」

「…行こう」

「っ待ってくれ!!」

「!」

「準備する時間が短すぎる…。わし、旅なんて初めてだから」

「魔王…。仕事は?」

「息子に引き継いだ。いい息子だ。快く引き受けてくれた」

「家族と会えなくなるぜ?」

「わしら魔族からしたら、一瞬の時間だ」

「ははっ、荷物多すぎ。そんなんじゃ素早く動けないぜ?」

「わし魔王ぞ?体力も力も最強だから」

「そっか。頼もしい」

「世界中の酒でも飲み比べしようぞ!」

「おう!最高の旅になりそうだな!!」

「「「「魔王様~!!!」」」」

「魔王城の者たち…そして息子に妻よ…」

「皆で見送りか。旗まで作って…。愛されてるな…。ってうおっ!!涙と鼻水凄い!!」

「ぐすっ、わし、幸せ者だなぁ」

「あぁ。じゃぁ、行こうぜ。新たな冒険の始まりだ」

「あぁ!魔王と勇者の凹凸コンビの出来上がりだな」

「そうだ、お前もう魔王じゃないんだろ?」

「まぁ。そうだな。引き継いじゃったし」

「名前、教えてくれよ」

「え?」

「魔王なんて呼んでられないだろ、親友」

「~~~!!そうだな!!勇者も名前教えろ!」

「ははっ!楽しくなりそうだぜ!俺の名前は———‐‐‐」


その後、勇者と魔王は楽しく旅を続けましたとさ。

めでたし、めでたし。


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魔王様だって愚痴りたい 野中りお @tomato0212

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