第9話

「起きろって」

「はっ!!わし、今夢見てた」

「飲みすぎ、働きすぎ」

「勇者と初めて会った時の事」

「はは、懐かしいな」

「あの後、結局気になって勇者探しにいって飲んだんだよな」

「マグマ焼き食べてな」

「そうそう」

「…ここ数か月楽しかったよ」

「わしも。そろそろ他の居酒屋も開拓してもいいかもな」

「んー…」

「どうした?」

「いや、かなり満喫したし、そろそろ旅に出ようかなって思って」

「え?」

「金も尽きてきたしさ」

「そんな、それだったらわしが…」

「そこまで世話になれねぇよ」

「いつ、行くんだ?」

「来週くらいかな」

「そうか…。寂しくなるな」

「魔王が良いやつだって教えてくるわ。人間代表として」

「そんなの、いらんよ」

「家族思いで、働いてばっかりで、意外に涙もろい奴だってことも」

「やめろ。そんなんじゃない」

「ここに来るまでの仲間とはうまく行かなかったけどさ、魔王とはなんか楽しくいれた」

「……」

「あとさ、また旅に出るから、仲間、募集してるんだよね」

「仲間…?」

「一応、俺より強いやつで、俺と気が合うやつ募集してる」

「それって…」

「でも、仲間にしたい奴にも色々事情があるからさ。無理しなくていいぜ」

「わしだって、勇者とはいい友人関係だったが…急すぎるな…」

「はは、だよなっ。今日はもう遅いし帰るわ」

「あ、ま、まてっ」

「来週旅立つから。返事、待ってる」

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