第14話 人生二度目の転生!(?)

 やけに頭の方が柔らかい気がするけど、枕ってこんな感じだったか?

 そう思いながら眠い目を開けた。

 「あ!ユートやっと目を覚ましたのね。急にこんなことになってるから慌てちゃったよ。」

 「あぁ、イレーネおはよう。」

 そう言ってから俺はあることに気がついた。膝枕をされていたのだ。

 「あ!ごめん!えっと、足…痛くなかった?」

 「うーん、全然痛くなかったわよ。」

 「それならよかったよ。このお礼ってことで今から朝食作るから待ってて。」

 俺は膝枕に気を取られ、ことの重大さに気がついていなかった。

 ここは確実に今まで居たところではない。異世界だったんだ。

 「な、なぁ…イレーネ。ここってなんて名前の世界なんだ?」

 「この世界の名前はセルジオよ。」

 「セルジオか。」

 俺はたしかあの夢でこの世界の名前を聞いた。けど、まさか…

 「この世界に夢を見せるやつっているのか?それか夢に入ってくるような。シュレインと言う名前で。」

 「そういう能力を持ったのは確かにいるわ。けど、シュレインは聞いたことがないわね。」

 「シュレインはイレーネにも分からないか…でもやつは只者じゃないって感覚だけはあるんだ。だからアイツの正体を知っておきたい。ドレイクの時のようになる前に。」

 「でも、この世界中探すってのも相当大変だと思うけど。それに本当の名前か分からないし。」

 「それなら夢の能力者を探せばいいんだ。ソイツならシュレインの正体を知ってるかもしれない。だから特徴教えてくれないか?」

 「そうね。全部教えられたらいいんだけど特徴はあまり知られていないんだ。夢との区別もそうつくものじゃないし、同じものを見てる人もいないからね。でも名前だけなら分かるわ。ファトラって言うのよ。」

 「ファトラか。それじゃあ今は自分を強くしていくしかないな。イレーネも付いてきてくれるか?」

 「もちろん行くわ。私だって一応あなたのバディなんだからね。」

 そう言いながらイレーネはおもむろに立ち上がった。そこで俺はあることに気がつく。

 今までは俺の方が身長高かったのだが、今はイレーネの腰あたりぐらいしかない。まさか…

       鑑定!


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 名称  スライム

 Lv 1

 HP 25/25

 MP 14/14

 攻撃力  8

 防御力  12

 素早さ  17

 SP 525

 スキル ・鑑定

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 俺の予想は正しかった。やはり転生していた。それもスライムに…

 「スライムって正直強いのか…?」俺は恐る恐る聞いた。

 「魔法攻撃は色々使えるのよ。けど、他の基礎能力が…」

 「つまり基礎能力を上げればいいと…でも、そんな簡単に上げる方法なんて」

 そう言いつつスキル欄を見ていた俺は、思わず目を見開いた。


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    ・HPアップ    必要SP64

    ・MPアップ   必要SP64

    ・攻撃力アップ 必要SP64

    ・防御力アップ 必要SP64

    ・素早さアップ 必要SP64

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 俺は後先考えずにこのスキル達を習得してしまった。SPを320も使ってしまって役に立たなかったらという恐怖心が出てきた。

 「な、なぁ、基礎能力上げるスキルってこれでいいのか?」

 「これって一体どれのことよ。」

 「HPアップとか攻撃力アップとかそういうやつだよ。」

 「それは私聞いたことのないスキルね。けど、鑑定してみたらいいんじゃない?」

 「あ、その手があったか。久しぶりで忘れてたよ。」


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 HPアップ:HPが1.5倍上がる

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 「え、これだけ?」俺はそう声を漏らした。焦りながら他のも見たけど、全部同じことしか書いていなかった。

 俺はよく後先考えずに決めてしまう。

 イレーネを泊めることを決めたときもそうだ。まあ、イレーネの件最終的にはいい方向にいってくれたのだが…

「異世界生活は始まったばっかりだ。俺ならまだやれる」そう自分に言い聞かせることしか出来ない。

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俺の転生、なにかがおかしい 高橋伊織 @tk_io

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