カタリアの捜査官
ルブブ
第1話
カタリア。
そこは第三の世界。
現実世界と仮想世界が溶け合わさったもう一つの世界。
カタリアではネットの世界にいるウイルスが具現化し、意思を持って動き回り無差別に殺しまわった。
カタリアは、始まって直ぐに壊れていった。
◆◇◆◇
カッカ
音を鳴らしながら階段を降りる。
悲惨な殺人現場を見たのはこれが初めてでは無かった。
小さ頃、家に帰ってきたら鉄の錆びた様な匂いが充満していた。
いつも優しい母の顔が何かに殴られた様で、引き裂かれた皮膚はまるで獣の爪痕の様だった
そこには明らかな何かがあった。
その事件せいで俺は捜査官を目指した。
母を殺した奴を見つけ出すために。
階段の隙間から空を見上げる。
赤い空が覗き、また隠れる。
「お疲れ様です」
挨拶をして歩きで帰宅する。
今日の事件、そして13年前のあの事件。
全てがフラッシュバックしてはまた繰り返す。
その時だった。
急に頭に頭痛が走った。
刹那
帰り道の道路にある水溜りが光を放ち、数列が空へと飛び出した。
「えっっっ?」
町中が数列で黒濁し、気づいた時には数列は消え。元に戻っていた。
「気のせい、、か」
昨日の夜勤が応えたのかもしれない。
21の体とは言え夜勤でほぼ徹夜はかなりキツかった。
そんな事を考え下を向き歩いていた時だった。
《お使いの仮想データを現実世界に転送が完了しました》
電子音が頭に響き、一瞬キィィーンと耳鳴りがする。
トクットクと脈が動くたびに右上の波紋が広がる。
まるで仮想世界の様に。
ここ、現実、、だよな、、、?
手を握るといつもの感触が伝わる。
だが、明らかに違う。
辺りを見回すと、いつもと同じ情景が目に映る。
「おい、どうなってんだよ」
急に後ろの人が叫びその近くにいた人も異変に気づき始めていた。
急に空にモニターが映り、の白衣を着た人が話し出した。
「ニューワールドカタリアにようこそ、、今日から君たちは僕の世界で踊ってもらおう。さぁ、初めよう。手始めにあるプレゼントを用意した。せいぜい頑張れ諸君」
あれは、、仮想世界を創り出した。
「立華利信」
キャーー
突如現れたモニターが消え、辺りが静まり返った時後ろから悲鳴が聞こえた。
「どうなってんだっ」
人をかき分け進むとそこにはかつての母と同じような″傷跡″を負った人が倒れていた。
「おい、あそこだっ」
何処からか声が聞こえ視線が電柱に映る。
黒い人形の体、長く伸びた爪、裂けた口。
雨上がりの様に電柱から血の雫が垂れ、小さな黒い粒子のようなものでできた体の爪には赤い血が付いていた。
「下がれっ」
前にいた人を押し除けホルダーの中から拳銃を取り出し発砲する。
銃弾が黒い体に当たった。
パリーンッッ
ガラスの割れる音がし黒い影の後ろの窓ガラスが四散した。
「な、、なんで、、当たらないんだ、、」
電柱に居る″それ″は顔をこっちに向けて口を少し開いた。
『いいなぁ。それ、、、』
掠れた声のような音が直接頭に響くように聞こえた。
その瞬間、手に持っていた拳銃が消えた。
パンッ
銃声が背後で鳴った。
後ろの車の上で空に向かって銃弾を発射させ、空に向かって1筋の煙が上がっていた。
パリンッ
車のフロントガラスが割れ中にいた人の顔を掴み上げ、潰した。
黒い粒子の塊の奴はこう言った。
「一瞬で死ねたから、、幸福だ」と、、、
カタリアの捜査官 ルブブ @rububu
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