第20話
俺たちが踊る曲は、木星ハネムーンという某有名ボカロpが作ったものに決まった。俺自身、この曲は歌い手が歌っている方で知ったのだが、踊る曲は本家の方らしい。
歌い手を認めずに、本家の方がいいという人もいるが、俺はどちらも楽しめばいいと思う派で。
そして、人一倍この曲に反応しているのは他でもない。俺のダンスのペアである千紗である。
「ダンスの曲がボカロなんて聞いてない」
「なんだ、嫌なのか?」
「嫌なわけない。ボカロはわたしのじんせー」
「そ、そうなのか」
千紗の以外な趣味の発掘に戸惑いは隠せなかった。俺もボカロは好きなので、次のマジ○ルミライにでも一緒に行こうかと思うが、これはデートみたいになるから、どうかと思う。
別に意識しているわけじゃないんだけどな?
「私、俄然やる気」
そう言って、両手に拳を作る。これには期待できる。そう思ったのだが.......。
「体力切れ」
「だろうな!だってお前、一切動いてないからな。まずは体力作りからってことか.......」
先が思いやられる。お前は踊れるのかって?当然だろ。なんせ俺はつきちゃんの元カレだぞ。ダンスなんてお手の物に決まっている。
「きょーすけ、なんでもできるのずるい」
「なんでもはできないぞ?努力したことだけで、俺の最初はダンスは絶対無理だと思ってたけど、行けるようになったんだから、頑張れ」
「えぇ.......」
「できる範囲でいいから、無理しなくていいぞ」
無理は続かないからな、と付け足す。ベターと地面に座り込んでいた千紗だったが、立ち上がって少しだけ笑いながら、
「じゃあもう1回やる」
「お!いくらでも付き合うぞ」
再度、やる気になってくれた千紗に応えたい。俺は一生懸命に千紗にダンスを教える。こんなに一生懸命になったのはいつぶりだろうか。
「ダンスって楽しい」
「あぁ、教えてる俺も楽しい」
「そ.......。きょーすけが楽しかったら、私は嬉しいよ?」
千紗がそんなことをいう。ダンスの指導とか言って近づいていた自分の体を千紗から離す。これじゃまるで俺が意識してるみたいになる。
「ほら、そんな無駄口言ってる暇があったら、ダンスのひとつでも覚えるぞ」
「きょーすけ、鬼監督」
「当然だ」
俺はこの気持ちを誤魔化すために、ダンスに打ち込んだ。
♣♣
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片思いしてた冷たい幼なじみを諦めるとモテ始めた。 大学生 @hirototo
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