第19話
男女混合リレーのメンバーに関して言いたいことがある。四人1組でやるんだ。俺と神崎とサッカー部の柿原くんが入ってるのは分かるんだが、なんでお前が入ってるんだよ。
「なに、私が入ってたらだめ?」
「千紗、お前は楽なのを選びに行ったんじゃないのか?男女混合リレーなんて目立つ競技にしたんだ?」
「秘密ぅ.......」
そう言って机に伏せてしまう。何かを知ってるらしき、神崎がこっちを向いて笑っている。俺は神崎の方までよっていき、話しかける。
「おい、神崎.......おまえなんか知ってるだろ。なんで千紗が混合リレーに入ったのか」
「乙女の秘密を知りたがるなんて、夏目くんのえっちぃ。でもこれだけはいってあげる。千紗ちゃんは夏目くんのことを思って選んだんだと思うよ?」
「え、どういうことだ。おい、もっと謎が.......」
「んじゃ、私バイトあるから、ばいばーい」
そう言ってそそくさと、カバンをまとめて帰っていってしまった。1人取り残されてしまった、俺は元の席に戻る。
横の席で、多分俺と神崎が聞こえていたであろう千紗は少し耳を赤くしながら、寝たフリをしている。白々しい演技をする千紗に一方的な感謝を伝える。
「まぁ、なんか俺のためにリレー出てくれたんだな、サンキュ」
「別にきょーすけのためじゃない」
「なんだ?ツンデレキャラか?可愛いじゃないか」
「そんなことを言うきょーすけは嫌い。でも私に感謝する気持ちがあるなら、リレーの練習付き合って」
そう言って千紗は足をパタパタとさせる。机とにらめっこをしていた顔をこちらに向ける。少し不安そうなそんな表情をしていた。
普通の人なら分からないんだろうけど、俺は分かる、気がする。
「めんどくさいけど、手伝ってやるよ」
はぁ、素直に手伝ってやるって言えればいいんだけど、千紗に素直になるっていうのもなぁ.......。
「きょーすけ、素直じゃない。体操服の私のないすばでぇを見れるんだよ」
「つる、ペタ、すとーん」
「きょーすけ、わたし、意外とある」
そう言っておもむろに俺の手を取る。そして自分の胸に寄せていく。え、どういうこと。触れさせてあげるってこと?ちょっと待って。
準備が出来てない!
そんな童貞丸出しな考えを披露していると、もう胸の近くまで来ていた。千紗の体温を手で感じる、そんな距離。そこでピタリと止めて、千紗は俺から目を逸らして、
「顔、真っ赤にして可愛い、きょーすけ。つる、ペタ、すとーんのわたしに興奮しちゃってる」
「そ、そりゃ、いや自然現象だ.......」
「ふーん、えっち」
そう言って、また眠りの体勢へと戻ってしまった。何かをつかみ損ねた右手をグーパーさせて、名残惜しそうに元の位置に戻した。
「お前も赤くなってんじゃん」
千紗の耳はさっきより赤くなっていた。そんな千紗を見て、また不覚にも可愛いと思ってしまった。こんな無表情に振り回させるなんて.......。
♣♣
次も会う約束を取り付けるなんて.......千紗は策士?それとも天然?
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