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日が落ちてきて、閉園が近付いてくる。


この6人でまた、遊びに来られるだろうか。


そんな少しの寂しさを胸に、私は佐藤と手を繋いで、みんなで園の門を出ていた。




「楽しかったねぇ!!」




鞠の満足そうな声が響く。




「そうだね。楽しかった」


「のども満足そうで良かった〜!さとちんとのどのデート姿も見られて一石二鳥だったね!」


「デッ…………」




デートとは、ちょっと違う気もするけど。


みんなの顔がにまにましていて、私は佐藤の背後に隠れた。


恥ずかしい、ばか、ばか。




「今日はトクベツだからね〜?こんな可愛い和香、ほんとだったら独り占めしたいわ」


「佐藤の独占欲めずらしっ」


「ふふん、和香を独り占めできる権利があるのはあーしだけ」


「ギャルが出てるぞ佐藤」




いつまで経ってもギャルの抜けきらない佐藤。


でもそんな佐藤が私は好きだし、面白いと思う。


堂々と言えちゃう辺りが、佐藤の凄いところだよね。




「夏には海に行くんだっけ?プールだっけ?」




頭の後ろで手を組んで歩く渚くんが、佐藤に顔を向ける。




「プールかなぁ。2年も避けてきたから、ちょー久しぶり」


「女装のままじゃ入れないもんね、さすがに」


「さすがにねー。プールデート、かなりアリだわ」


「またイチャイチャしてるとこ見せられんのかよ、爆ぜろ」


「好きなだけ羨んでくれていいよ!」


「もう恥ずかしいから佐藤は黙っていてくれる?」




そんな、賑やかな帰り道だった。

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わがままシュガー after story RIM @RIM0310

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