約束のTRPG

@yukinomikan

第1話 消えた日常

夢を見ていた...誰かが叫んでいる...

涙を流しながら...我を忘れた様に...

ただ...泣き叫んでいる...

大事そうに何かを抱え...


「ピピピピ、ピピピピ」と新しい朝を告げるアラームが鳴る。


「ふぁ〜...ん...もう朝か...」


アラームを止め、背筋を伸ばし、カーテンを開け、陽の光を浴びる。もう何度目かも分からないこの流れが日常を感じさせる。


「え〜と...今何時だ...?」


時計を見ると時刻は8:30だった。


「...HRは8時40分...なるほど...〜っ!」


「遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


急いで着替え、カバンに荷物を詰め込む。


「よし!父さん母さん行ってきます!」


元気よく挨拶をして俺は家を飛び出した...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺は一城天夜いちじょうてんや天王高校てんおうこうこうに通う高校2年生で、現在遅刻中。


「はぁっ...はぁっ...あと2分!ギリ間に合うか?」


全力ダッシュで門を抜け、校内へ入る。


「あと40秒っ!..まだ!...まだ間に合う!」


2年生の教室は3階、足に力を入れ階段を一段飛ばして駆け登る。


「間に合えぇぇぇぇぇぇぇ!」


教室の扉に手をかけ、勢いよく開ける。


「間に合ったぁぁぁぁぁぁ!」


膝から崩れ落ちガッツポーズを掲げる。勝った...勝ったんだ...俺は自分に勝っ...あれ?何故だ?教室が静かだ?一体どうして...あっ。担任の先生が視界に入る。


「おはよう一城くん。3分遅れは遅刻じゃないんだね。」


(ヤバい...ブチギレてる...。)


にこにこした顔で静かに怒ってるこの人は俺らの担任の土井松也どいまつや。普段は温厚で優しい先生なのだが、遅刻したりするとキレる。めっちゃ怖い。噂では学校内の不良全てを叩き潰して更生させた元生徒会長を泣かせたとか。


ちなみに3分遅れの理由は明白である。スマホの時計がズレてるだけなのだ。


「え〜...正直にスマホの時計がズレてましたって言ったら許して貰えます.....?」


「ははっ、一城くん。放課後職員室ね。」


軽く笑って死刑宣告された。


「はい...」


(クソ...どこぞの主人公みたいに不幸だと叫びたい...)


「はいそれじゃ連絡事項だけど、最近誘拐事件が起きてるからみんな気をつけるように。特に夕凪区ゆうなぎくの人達は細心の注意を払うように。」


...そう、この街では最近誘拐事件が多発している。特に夕凪区ゆうなぎくでは7人も誘拐されたらしい。犯人と被害者は見つかっていないらしく、犯行の手口も分からないようだ。


「連絡事項は以上だ。委員長号令。」


「起立、姿勢、礼」


「ありがとうございました。」


「一城くん。放課後忘れないようにね。」


(...はぁ最悪だ。...そして隣のヤツがウザイ。)


「ぷっw...くくっw..ひっひひw...」


さっきから隣でずっと笑いを堪えてるムカつく男は水野孝雪みずのたかゆき。小学校からずっと一緒の幼馴染で所謂腐れ縁ってやつだ。


「ぶはっwもうダメだwあっははははw」


「うるせぇ!笑うな!」


この顔面を1発でいいから殴りたい。


「珍しいね。天夜が遅刻するなんて。何かあった?」


「...心配してくれるのはお前だけだよ捺目」


この孝雪クソとは違って優しい女の子は捺目蒼夏なつめそうか孝雪クソと同じく、小学校から一緒の幼馴染で腐れ縁だ。


「おい、俺が優しくねー見てーに言うなよ!俺以上に優しいやつなんていないだろ?」


「ほう。そんなふざけたこと言う口はどの口だ?この口かぁ!」


俺は思いっきり孝雪の下唇を引っ張る。


「いっふぇ!ひっはんなよ!いひじょう!」


「どうだ!反省したかこの口は?」


「ひまひた!ひまひた!...って〜、少しは加減しろよな〜3分遅刻マン。」


「まだ懲りてないみたいだなこの口はぁ!」


「はいはい2人ともそこまで。もうすぐ授業だよ。」


キ〜ン♪コ〜ン♪カ〜ン♪コ〜ン♪と予鈴がなる...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜〜〜〜〜〜〜【放課後】〜〜〜〜〜〜〜


「んじゃ!一城俺ら2人は先に部室行ってるから。泣き顔見せたくないからって帰んなよ!」


「泣かねぇよ!...(多分)」


「泣いたら私が慰めてあげようか?」


瞬間複数の男子が俺を睨みつける。


(はぁ!?なんで毎回お前ばっかり)

(死すべし!一城氏死すべし!)

とかいう心の声が聞こえる気がする...


捺目は男子から結構人気で狙ってるやつも多い。だから捺目と距離の近い俺はよく妬まれる。


「べ、別に慰める必要ないぞ?まず泣かないから。」


駄目だ、絶対に泣けなくなった。


「そ。じゃあ天夜また後でね。」


そう言って手を振る。


「...はぁとりあえず職員室へ行くとするか。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「...まさか3分の遅刻であんなに怒られるなんて思わねぇよ。」


想像の5倍ほど怒られた。確かにあれは元生徒会長も泣く。何とか涙腺を塞き止めたが、もう少し怒られてたら間違いなく泣いてただろう。


スマホを取り出しLINEで2人にメッセージを送る。


〈今説教終わったこれから部室行く〉


「さてと...今日は一体何すんだろうな?」


考えながら部室へと足を運ぶ。


「ただいま。」


「おかえり!泣いたか?w」


孝雪がめっちゃ笑顔なのが腹立つ。


「高校生になってこんなんで泣くわけねーだろ!」


「おかえり天夜。」


「ん、ただいま。」


捺目はずっとパソコンを弄っていたようだ。


俺たち3人は新聞部だ。新聞部と言えば大体は学校新聞を書いて貼るっていうのだけど、俺たちはちょっと違う。

俺たちはこの街で起きた事件や学校の黒い部分などを暴き記事を書いて報道する。

まぁちょっとしたヒーローみたいな感じだ。

最近だと未解決事件の証拠をゲットだとか、校長の汚職を暴いたとか。

まぁ割と危険なこともしている。


「んで、孝雪。今日は何のスクープを撮りに行くんだ?」


「ふっふっふ!よくぞ聞いてくれた!今日は土井先どいせんも話してた夕凪区誘拐事件ゆうなぎくゆうかいじけんについてだ!」


「また危険そうなやつかよ...もうちょい安全そうなやつで良くないか?」


「何言ってんだ!危険だからこそ人は唆られ!興味を示し!見てくれるんだろうが!」


「それに、俺が危険な目にあうと思うか?」


「お前は大丈夫かもしれねーが俺が大丈夫じゃねぇんだよ!」


そう、孝雪は高校生ながらプロのジャーナリスト顔負けの技術力を持っている。

圧倒的隠密性、素早い逃げ足、狙った獲物スクープを逃がさないカメラの腕。

まぁ天才である。


「もうちょっと安全で楽しそうなやつにしようぜ。ほらクトゥルフ神話TRPG特集とか。」


「それはお前が最近ハマってる趣味だろ。」


「クトゥルフ神話TRPG特集の方が誘拐事件よりも安全で何より楽しいだろ!あのワクワクとドキドキは堪んねぇぞ!」


余談だが、この前別の友達のグループに誘われクトゥルフ神話TRPGをやったらハマってしまい趣味になった。


「私は猫カフェ特集がいいかな。猫可愛いし、何より...モフモフ...♪」


「捺目がちょっと嬉しそうにパソコンをカタカタしながら言う。」


実は捺目は天才的なハッカーで、ハッキングの技術に長けている。スクープを取りに行く際に色々と助けてくれるのだ。

結構クラッカーに近い事をしたりするが、それを許されている。


捺目のお父さんは警視総監で、俺たちは捺目のお父さんとある約束をしている。

・ハッキングは人のために使い悪用しない

・ハッキングする時は連絡すること

・7時前には帰宅すること

・捺目を危険な目に遭わせない

この4つを守っている限り、ハッキングに関しては黙認されている。


時間に関しては制限がないと孝雪がずっと調査を続けるだろう。という意見から生まれた。過去に丸2日調査してた時もあったから仕方ないことである。


少しお父さんが可哀想なのは孝雪が事件などのスクープを撮りたがるので、ほぼ毎日のようにお父さんに連絡が行きその度にほかの警察の人に説明しなければいけないことだ。


「意見が分かれたか。そうなったらこれだ!テレレテッテレー!くーじーびーきー!」


聞いた事あるリズムで孝雪はくじ引きを取りだした。


「割り箸の先端が赤いやつが当たりな!」


「わかってるよ。...小細工とかしてないだろうな?」


「するわけないだろ?」


「信用出来ねぇ〜...」


「じゃあ私これ。」


「捺目は相変わらず決断早いな...」


「じゃあ俺はこれ!」


「残ったやつが俺か。まぁ残り物には福があるって言うしな。」


「んじゃ!せーので上げるぞ!せーのっ!」


「私ハズレだ。」


「...まぁ自分の運の悪さは知ってた。」


「よっしゃ俺当たり〜!」


「マジか...クトゥルフ...」


「....猫...」


「平等にくじ引きで決めたんだから文句言うなよ!」


「わかってるよ。それじゃ準備しますか。」


「おっけ〜。私は必要な情報を取ってくるね。後で送る。」


「了解!んじゃ行くぞ一城!」


「ちょっと待てよ!置いてくなって!」


荷物をまとめて俺と孝雪は事件の起きた夕凪区へと走って行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「クソっ!...なんでだ!?新しい情報も何も見つからないなんて...何を見落としてるんだ俺はっ!」


孝雪が動揺するのも無理はない。俺も同じだ。孝雪は今までどんな事件でも必ず犯人を見つけるか、最低でも新しい証拠などを見つけていた。でも、今回は何一つ見つからなかった。痕跡も証拠も犯人の特徴さえ得られなかった。


(あの孝雪が証拠すら掴めない相手って一体...)


「こうなったら!もう一度調査だ!行くぞ一城!」


「待て孝雪。時間見ろよ、もうすぐ7時だ。これ以上は捺目のお父さんとの約束を破ることになる。今日はもう帰ろう。」


「...わかった。今日は帰るよ。」


明らかにしょげている孝雪。仕方ない元気づけてやるか。


「ジャーナリスト魂だっけ?今のお前の態度はそれに反するんじゃねぇの?」


「っ!」


「どんな時でも前を向いて諦めない!だろ?それにしょげてるのは孝雪らしくねぇよ!」


「...すまん変なとこ見せたな」


孝雪は上を向いて自分の両頬を叩く。結構強めにやったんだろう、バチィンと痛々しい音がした。


「もう大丈夫だ!よし!帰ろうぜ一城!この調査はまた明日だな!」


「それでこそ俺の幼馴染だな!」


笑いながら俺たちは自分の家へと帰っていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ただいま〜...」


孝雪と別れフラフラした足取りで家へ入る。作り置きしていたカレーを温め、晩飯を済ませる。すぐに寝てしまいたいが、流石に風呂には入らなくては。


「ふぅ...」


しっかり洗った後、湯船に浸かり一息つく。


「それにしても孝雪が証拠を手に入れられないなんて...犯人はどんなやつなんだ...」


もしかしたら危ない組織が絡んでいる?とか、何かしらの秘密を知った人を政府が隠蔽するためにやってるのでは?など自分でも考えすぎだと思うほどの事を想像してしまう。


「...考えてもわかんねぇな。」


風呂から上がり寝る準備をする。いつもなら寝る前に炭酸のASMRを流すのだが、今日は疲れてるからかスっと眠りについた...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ん...ふぁ...もう朝か...」


目を擦りながら辺りを見渡した時俺の体は動きを止めた。


「ここ..どこだ...?俺の部屋じゃない...」


よく見ると布団もスマホもない。


「落ち着け...まず落ち着くんだ...」


孝雪のお陰で危ない目にあってる俺にとってこういう状況で落ち着くのは簡単だ。

深呼吸をしてもう一度辺りを見渡す。どうやら一本道で奥の方にうっすらと何かが見える。壊れかけてる石の道で、両端に折れた石柱が何本も立っている。


(神殿みたいだ...)


石の壁で覆われていて、後ろの道は真っ暗で何も見えない。


「前に進むしかないってか...」


意を決して歩き出す...


「はぁ...はぁ...うっ..おえっ...」


危うく吐きそうになるのを堪える。


しばらく歩いてわかったのは

〘これは夢じゃない〙

〘前に進む度得体の知れない恐怖を感じる〙って事だ。


石の破片で足を切った時普通に痛かった。

進む度に足が震えるのがわかる。

でも進まなくちゃいけない。本能がそう言ってる...


「やっと着いた...」


何とか一番奥まで辿り着いた...が、出口はどこにもなかった。

剣の刺さった台座があるだけで他には何もなかった...


「嘘...だろ...?出口がない...」


「これを抜けってことか...」


俺は剣を両手で握る。次の瞬間脳内に色んなイメージが流れ込んできた。


太陽、深海、暴風、満月、神殿、泣き叫ぶ人

燃えて焼死する人、悲鳴、宇宙、星、闇、

数えられない程のイメージが止まることなく脳内に流れてくる。


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」


(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い脳が焼ける熱い苦しい痛い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ)


「ゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」


手を離そうとしても手を離せない。


(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない)


「あ゙あ゙あ゙...だれ..か...」


微かな望みを抱いて。俺は目を閉じ膝をつく...


「...俺死んだのか...?」


暗い暗い闇の中にただ一人立っていた。


「ははっ...なんだよ...わけわかんねぇよ...起きたら知らない所で!辛い思いして!挙句死にましたってか!...ふざけんなよ!」


怒り、悲しみ、憎しみ、後悔、色んな感情が混ざった叫び声。


「不幸だからって...こんな最後はねぇだろ...」


仰向けになり腕で目を覆う。


「クソっ...クソっ..クソっ..クソっ...」


頬を涙が伝う。ポロポロと零れていく。


〖...起きろ。〗


(...声がする。誰かの声が...)


〖こんなのに負けて死んではならん。〗


(...もう死んでんだよ...疲れたんだよ...)


〖お前は死んでない。立て。立ち向かえ。〗


(...嫌だよ...痛いんだよ...苦しいんだよ...)


『...この少年の心は完全に呑まれとる...もう無理じゃ...すまぬ少年...』


「...一城...諦めんなよ。」


『!?これは思念体...!』


(...孝雪...?)


「そんなすぐ諦めて!ウジウジしてんじゃねぇよ!お前らしくねぇ!」


(...うるせぇよ...もう辛いんだよ...)


「辛い辛いって泣き言ばっか言ってんじゃねぇ!俺の知ってる一城はなぁ!どんな時でも!どんなに不幸でも!前を向いて!諦めないやつなんだよぉ!」


(...うるさい...うるさい!うるさい!)


「〜っ!お前が!あの時言ったことは嘘なのかよ!」


(......違う...違う!違う!違う!)


「あの時!自分の両親に向かって!言ったことは!あの約束は!嘘なのかよ!!」


「違う!」


『立ち直ったじゃと...!』


「あの約束は...俺の決意だ!嘘なんかじゃない!」


「じゃあ今!証明して見せろよ!一城!」


「あぁ!証明してやるよ!嘘じゃねぇってことを!」


〖...やっぱりダメか。人間は脆すぎる...また新しい子探さな...?〗


「っ!オラァァァァァァ!踏ん張れ足ィィィィィィィィ!」


(頭が痛い、辛い、苦しい、怖い...でも!)


「俺は!諦めない!!」


「父さん、母さんと約束したんだ!どんなに辛くても!苦しくても!諦めない!足掻いて足掻きまくって!2人の分まで絶対に生きるって!」


「だから俺は死なない!諦めない!」


『...死んでなかったのか...?もう耐えるのは不可能なレベルの情報量があの人間の頭に入ってるはず...なぜ死なない?』


〖...ふふっ面白いな〗


(ごめん父さん、母さん。...俺迷ってた。ずっと、ずっと。未来が見えなくて、苦しいのから逃げたくて、辛い事から目を背けたくて、あの日の約束を忘れようとしてた...父さんと母さんの所へ行こうと思ってた。でも、もう大丈夫。俺迷わないから!)


「ウォォォォォォォォォォォォォォォォ!!抜けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


〖...髱「逋ス縺雜ウ謗サ縺?※縺ソ繧〗


「えっ?」

俺は仰向けに転けた。


「...抜けた...のか?まだ、生きていられるのか...?」


『今...気の所為かな...まぁ楽しいオモチャが見つかったしこの子でいっかなぁ〜』


「ははっ!やってやったぞ!どうだ見たか!...あれ?クソ...立てねぇ...や。」


俺はそのまま眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「...はっ!...はぁ...はぁ...はぁ...はぁ...」


汗が酷い。頭痛もする。


「夢...いや、そんなわけない夢なんかじゃない...」


「でも一体なんだったんだ...」


〖やぁ!起きたかい?〗


「!?うわぁぁぁぁ!」


〖あぁそっかあそこでは僕が見えてなかったんだね。〗


「あそこ...? !まさかお前が俺をあの場所に連れてったのか!?」


〖そうだよ〜。〗


「ふざけんなよ!死ぬところだったぞ!痛たいし!辛いし!苦しいし!」


〖まぁまぁ、生きてるからいいじゃないか。そんな事より...〗


「そんな事!?」


〖君はねシナリオをクリアしてしまったのさ...結果、君はプレイヤーになったんだよ!よかったね!〗


「何がよかったね!だよ!何もよかねぇよ!てか誰だよお前!」


〖あぁまだ言ってなかったね。僕の名前は〗


〖ニャルラトホテプ〗


〖だよ!〗


「は...?」


〖よろしく一城天夜。〗


シナリオ...プレイヤー...その単語を聞いた時から頭の片隅にあった可能性が、ほんの少しの可能性が...ニャルラトホテプ...その名前を聞いて可能性は確信に変わった。


〖君はこれからたくさんのシナリオに挑む事になる。せいぜい僕を楽しませてね!じゃまた後で!〗


どこかへ歩いていくニャルラトホテプ。


〖あ、そうそう!僕を退屈させないでね?君は僕のオモチャなんだからさ♪〗


俺はただ、現実を受け入れられなかった。


「空想の生物だろ...なんで現実にいるんだよ」


「クトゥルフ神話TRPGは...ただのゲームだろ?」


頭の整理が追いつかず、俺はニャルの後ろ姿をただ見つめていた。気がつけば...時刻は8時40分だ。


「...休も」


こうして、俺の日常は終わった。死刑確定演出と共に...






〜あとがき〜


どうも!作者の雪乃蜜柑です!見てくれてありがとうこざいます!ちょっと書いてみたいなと思って始めた第1号の作品です!続きも徐々に書いていくので!よければフォローの方よろしくお願いします!

作者は小説自体初めてなので文章構成や誤字脱字が多いことがあると思いますが、暖かい目で見てくれると嬉しいです♪

ではまた次お会いしましょう♪ばいばーい!










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