第17話

「よっ…と、おい、そろそろ行くぞ?」


日が沈んだ頃に家にと入った彼らは防災バックを見つけた後に休息を取っていた俺ら。


一度日も沈み、朝となったので起床しては、彼女に声を掛ける。

そろそろ出るにはちょうど良い時間帯であるし、何より、早朝とは大抵の生物が睡眠ないしは寝起きであるから、より行動がし易い。

と言うのを何処かで見たのだ。


とか、考えながら俺はサヤカを起こしにリビングのソファから身を起こし、俺の自室で寝てるであろうから2階の自室に聞こえる様、階段に向かってから叫んだのだが…返事が無い。


まだ寝ているのだろうか、そんな風に思っていた頼一は階段を一段ずつ登っていく。

そして自室の扉を開けば、毛布がベットから半ばずり落ち、変な体勢…と言うより明らかに大変そうな体勢で寝てるサヤカが居た。


…どんな姿勢か?んなのあれだよ。

上半身は大の字みたいに手を広げて仰向けなのに下半身は右足を左足の方に放ってるんだよ。

それ普通に大の字で寝るなり上半身ごと左向いた方が楽じゃねと、ツッコミどころ満載である。

つか、腰痛めないのかそれ。


いやんなのはどうでも良いんだわ。

はよ起こさんと早朝とか言うグッドタイミングを逃しちまう。

つーことで、今の俺なら出来るであろう、ならではの起こし方でもするかね。


…さて、皆さんはちゃぶ台返しと言うものに聞き覚えは当然あるだろう。

……あるよな?最近あんまり聞かなくなった気がするけどあるよな?


とまあ、これから俺のやる事は簡単。

ベットバージョンのちゃぶ台返しである。

そんなんで起こされるサヤカから苦情が来そうだが関係無い。やはり俺はやるのだ。


「よっ…こら…せっ!」


工程的には超簡単。

何せベットの端を下から持つ、思いっきり持ち上げて投げるようにする。

この二段階だけ、これで何と少し憧れていたものとは違うけど出来るのだよ。

ちゃぶ台ベット返しがな。


吹き飛んだベットは壁に重くずっしりとした音を立てて突き刺さり、サヤカはベットが反転した位置、つまりベットが元あった場所の直ぐそばに落とされて不機嫌気味に上半身を起こしていた。

その目は、視線だけで俺を突き抜けて後ろの壁にまで穴開けるのでは無いか、と言う勢いで俺を睨んでいた。睨んでいた。

現実逃避で2回言ってみたが、何も変わらなかったぜちくしょう。


「…で?ベットを吹き飛ばしてまで起こして、何かしら。今の私としては燃やすのも吝かでは無いのだけれど」


「待て待て待て、今の俺を燃やせば誰がお前をつれ歩く!?孤立したお前じゃ厳しいだろ!な!?」


確かに俺は悪い。

が、お茶目な悪戯なので許して欲しい物である。




なんとか宥め説き伏せ冷蔵庫(機能停止中)の中にあった野菜類を適当に切ってドレッシングで和えてから出す事でご機嫌を取る事に成功。

つまり、俺の一命は取り留められた。


包丁は何か役立ちそうだから勿論使った後は貯めておいた水を使って洗った後、保管空間行きだ。

今更だが、保管空間って結構便利だよな。


「…むぐむぐ…ほへぇで、ふぎはどうすふのかひら」


「口の中に食い物があるときは喋るな。分からないだろ?」


その数秒の後の間を置いて、彼女はまたその口を開いた。


「それで、次はどうするのかしら?」


食べ終えた食器類は放置で席を立つ事も無く、背もたれに寄り掛かっては偉そうに足を組み、腕も組んでこちらを見つめてきた彼女。


「次…次な。取り敢えずは観光の前に食料に備品なんかを補充しておきたいからな。

近くの…先ずはコンビニだな。そのあとは、学校とは反対方向のデパート、そんな順番で回った後に改めて決めようか。」


「ま、妥当ね。旅に備えは必要だもの。

で、出発は今から?」


「ま、そうなるな。モンスターの気配も今は少ないしな。」


その言葉を合図に俺らは荷物を纏める、と言ってもまあ、保管空間に必要な物を突っ込むだけで終わりなんだが。

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世界が大混乱なので魔物達とほのぼのして行こうと思います。 依神ねたゆ @yorigaminetayu01

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