第16話 物資調達
取り敢えず我が家から出て来た時は慌てて居たので防災バックやら何やらを取る事は叶わなかった。
が、今の俺には力があると強がる頼一。
「さて…残ってると良いんだがな。
あれば今後が楽になる。」
頼一が縋る様に呟くとサヤカはやはり反応して来る。
「あら、何がよ。さっき言ってた防災バックってやつ?」
「あぁ、そうだ。逆にそれ以外何がある?」
「何にも無いわね。少なくとも貴方が隠してる、なんて事でもなきゃ」
まだ信用されていないのか皮肉混じりに返ってきた。
信用されるまでの道のりは長い物である。
がそこで進めていた頼一は足をふと止める。
それに倣い、サヤカの足も止まった。
「敵だ。サヤカ。気配察知で見た所ゴブリンライダーが2体。
1匹ずつ受け持とう。」
「はい、了解よ。」
頼一が言い終える前にサヤカは腹に巻く連接棍を取り出す。
頼一も負けずとばかりにシュヴァルツのサポートを頼りに剣を抜く。
「後5秒程でそこの角から。
…3…2…1…来る!」
やはり読み通りゴブリンライダーが2体である。先程の群れのはぐれだろうか。
まず頼一は受けの体勢で盾を構える。
するとそこにゴブリンライダーが突っ込んでくるのでそれをしっかりと盾でシュヴァルツサポート込みで受け流し、そのまま首の側面を上に一閃。
これでライダーたる機動力は機能停止。
あとはゴブリン本人だけである、ゴブリン本人はサヤカの言う様に雑魚である。
ゴブリンライダーの何が厄介かと言えばそのライダーが故の機動力であるからだ。
だがそれを削げばただのゴブリンである。
ただし、このゴブリン、乗馬…乗狼?
するのに対して短剣を持っているのが難点。
普通のそれと比べなら短剣のおまけ付きと言うセット。
ただこの短剣。糞尿がこびり付きまるで毒薬かの様な効果をに示す。
その効果は高く当たればそこからバイキンが入って生んでしまってるつ。
ゴブリンが短剣を手に突っ込んできたのでまたシュヴァルツサポート発動。
盾で頭を殴ってゴブリンの出鼻を挫き、そのまま一閃。
「シュヴァルツサポート…強いな。」
「ほんと、それね。努力もせずにそれだなんて、妬けちゃうわ。」
サヤカの方も終わったのかそんな風に気付けば反応して来る。
ちなみに彼女の方は突っ込んできた所の噛み付きを蓮接棍で受け止め窒息で息を奪っていた。
手慣れた手つきなので元の場所でも相当に狩っていたのだろうと予想が付く。
非常に心強い存在である。
成人した男性が中学生程度の少女を心強い、などと言うのも変な話ではあるが。
ゴブリンライダーを退けた頼一らは頼一の家目掛けて進む。
そして数分経った頃には到着したらしく、頼一が足を止めた。
「…よし、大まかな外観は残ってるな。」
頼一が安心した様に呟けばサヤカが前に出て家を見上げては感想を述べた。
「へぇ、結構立派、そうだった物に住んでたのね。大きいじゃ無い。」
大きい、などと言うが我が家は普通の一軒家程度の大きさである。
特別大きい訳では無い。
玄関は当然開けっぱなしなので蹴り破って入る。…やってみたかったんだ。ちょっとだけ。
「さて…っと、確かこの床下の奥に…」
床収納の蓋を開けては中をガサゴソと漁り始める。
「あ、そうだサヤカ。お前もこの家の中にある物、なんか適当に使えそうなの持ってきて良いぞ。」
「あ、了解よ。それじゃ適当に漁ってくるわ。」
「お、あったあった。」
その数秒後、防災バックを見つけた頼一は安心した様に吐息を吐き、保管空間へと防災バックを突っ込んだ。
「取り敢えずこんな物かしら、使えそうな物は。」
サヤカが持って来たのはキッチンにあったであろうライターにサラダ油、頼一の自室にあった筈の工具箱、そして金属バットである。
「お、良いな。特に油とライターは最高だ。」
と言って荷物を受け取った頼一はそれらも保管空間に入れる。
「それじゃ少し休息してから行くか。
見た感じ此処には魔物も寄り付きづらいのか居ないしな。」
「はーい」
俺らは一旦家で休息を取る事にした。
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