第15話 思案

後2人の男達は何処へ消えた?


さっきまでは命を取られる、取れるの状況だから気にしていなかった…と言うよりも気にする余裕が無かったが…冷静に考えると後2人、居ないのだ。


校舎中を気配察知で探っても見当たらない。

レベルが低いから精度も悪い、そのせいで感知できないのかとも思ったがだとしても何の違和感もなく、こうなるのはおかしい。


まさか帰る途中に逸れてあの2人だけが学校に?

いやそれは無いだろう。逸れたとしても見知らぬ場所では無く見知った場所だ。

それこそ命を落としているでも無ければ帰ってこれるだろう。もしくは足を怪我している?


そのどっちにせよ、この学校に居るかは定かでは無い。

それに今思えば幾ら魔物の襲撃後とは言え1人もいないのはおかしい。

校舎内に死体が落ちているならまだしも、俺らはそんな物一つも見ていない。

そして校庭にある死体を視野に入れても明らかに数が少な過ぎる。



この学校の校舎以外にこの学校から通じる別の避難所にでも居るのか?

もしくはありそうなのが…地下…か?

いやだが冷静にあんな強盗紛いをする様な奴らが避難者を此処に入れるとは思えない。


ならば最初から居なかった…?

だがそうだとしても校庭の死体はなんだ?

彼らの仲間か?

校庭に落ちてた死体は細かくは数えていないがぱっと見20はあったと思える。

つまりあいつらは30人弱の組だったのか?


確かに、そう考えれば避難者の死体が校舎内に無いのも、今も居ないのと、校庭の死体の説明はつく。


そう考えると学校から通じる別の避難所、と言うのも恐らく無いだろう。

という事は残りの2人は逸れて、魔物の餌にでもなったと考えるのが自然か?


まあ考えていても仕方がない、か。

少なくとも此処、学校内には居ないのだから、今すぐにどうにかすることは出来ない。


頭の片隅程度に留めておいて次の目的を考えよう。


…と言ってもな、人の集まる場所を目的とする必要もそこまで無くなった訳だ。

少なくとも今の状況で誰にでもわかる様な物しか無いのは分かる。


だからこそ無理に人のいる場を探す必要性も無いという事になる…

ならもう目的を観光地巡りにしても問題は無い。


なら近場の観光地を何処だったか…此処は神奈川の川崎…日本の中でも比較的真ん中辺りに位置する場所だからな…


そもそも近い場所なら横浜か。

で、その次に鎌倉と…まあ良い構図では無いだろうか。

まずは国内から、ってな。


横浜にはメジャーな観光地といえば赤レンガ倉庫とかマリンタワーに繁華街、と人の居なくても比較的景色だけで機能する場所が多いしな…繁華街はわからんが。


なら次の行き先は横浜、そうしよう。


「おいサヤカ、次は横浜…あの赤いレンガの倉庫とかがある場所に行くぞ」


「あ、やっと実物を観れるのね。このまま情報集めとか言い出すんじゃ無いかと思ったわ」


「流石にそれは無い。今の段階じゃ、持ってる量は俺らと変わらないだろ」


とサヤカの意外そうな回答に当然とばかりに答える。

流石に分かりきった事を聞くために人を探すのに時間を浪費する程俺は馬鹿じゃ無い。


「ま、そうね」


とだけ短い返答を貰っては俺はさらに考えをまとめる。

此処から横浜は比較的近いが今は電車なんかも機能停止しているだろうし間違い無く歩きだよな…

って事は何日も歩くだろうし…


一旦うちに寄って防災バックを持ってくるか。

今更ながらに思い出したが…


あ?なんで最初から持ってこないんだって?

んなもん当然だろ、家の中から見れば平和そのものな状況に防災バックをわざわざ持っていかないだろ。


後はコンビニにも使える様な物を頂くとしようかな。

飲み物類やパンに保存のきくレトルト食品。

それにライターやカッターナイフと言った汎用品。

そして最後に下着やTシャツと言った衣類品。

最後のは場所によってある無い変わるとは思うけどうちのコンビニにはあるんだよ。


それらを保管空間に突っ込んでから、サヤカに声を掛け、俺らはコンビニを出て、一旦俺の家へ向かう事にした。


魔物に荒らされていたらどうしようか。

魔物壊されていたらどうしようか。

そんな不安が無い訳では無いがその時はその時だ。

防災バックくらいは無事だろう。


そんな思いで俺らは、歩き始めた。

…まあ、サヤカは別の事考えてるだろうがな。

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