鯨よりも深く
小丘真知
鯨よりも深く
私はある建設会社の深海開発に携わって10年になります。
さすがは人類未開の地。
結構不思議なものを見ますよ。
少し、私たちの仕事をご紹介させていただきますと。
皆さんよくご存知だと思いますが、地球は7割が海で、その80%が水深200mを超える深海です。
だいたい2000mから5000mぐらい潜りますと広大な土地が広がっていまして、そこが私たちの主な仕事場ということになります。
仕事の内容としては、海底の土地を活用した農業の研究。
深層水やレアメタル、エネルギー採掘の研究・開発。
私たち人間の居住スペースの確保・建設の研究なども行なっております。
こうした取り組みによって食料問題を解消し、陸上環境を保護する方法などを日々模索していくことが私たちの任務と捉えておりますので、潜水調査船による調査を軸に、日々努力している次第です。
で、本題に入りますと。
その調査員たちの証言にですね、面白いものがあるんですよ。
例えば、海女さん。
いますよね、テレビでも有名になりました、あの海女さん。
あの格好をした人が、深ーく潜っていくのを見たという人がいるんです。
あるいは、素潜りのような格好をした裸の男性ですね。
2000m以上の深海底に現れて、すーっとより深い海の底へと消えていくのを見たという調査員が何人もいます。
素潜りの世界記録が200mくらいだったと思いますから。
文字通り桁が違いますのでいるわけないんですが、でも確かにいたと。
鯨と見間違えたんじゃないか、なんて考えたりもしました。
鯨の潜水時間は約90分、潜水距離は2000〜3000mといわれていますので、私たちの仕事場の近くを鯨が泳いだとしても不思議じゃありません、鯨の生息地はあってないようなものですしね。
しかし、小さくても4m超えますからね、鯨は。
それと見間違えるかな、と。
ましてや温暖な海に好んで生息するのが常ですので、私たちの仕事場に近づくことはないとは言い切れませんが、非常に稀であることは間違いないですね。
そういえば、調査船の小窓を外からノックされたと言うスタッフもいましたよ。
リズムがあったそうですから。
あれです、コンコココンコン、コンコンってやつですよ。
こうなってきますと、鯨では片付けられませんよね。
なかでも極め付けは鯨よりも大きな、白ーい楕円形っぽい物体。
その白いものにですよ。
大ーきな人間の顔があったそうです。
100m離れても目視できるくらいの大きな顔っていってましたから、相当大きいでしょうね。
そんなのが、4000mを超えた深いところに消えていったというんですよ。
すごいですよね。
UMAってやつなのかなぁって思っていますけど。
まあ、見たスタッフに特に何かが起こったという訳ではないんですが、私はまだ見てないので見たいんですよねぇ。
どういう訳か、映像にも記録されてなかったものですから。
鯨よりも深く 小丘真知 @co_oka_machi_01
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