第10話 勝てる可能性、0.00…%

 織田信長、本人…?!


〈ツバサくん、1582年「本能寺の変」は知っておるね?〉


 あぁ、こんな先の未来まで歴史は語り継がれているんだな…


〈ではその本能寺の変で、信長の遺体が見つからなかった、という話は知っておるかな?〉


 まさか!?


〈そう、信長はまさにその時にタイムスリップさせられ、未来に来たというわけじゃ。〉


 そんな!なんで信長を呼んでしまったんだよ!


〈前にも言った通り、タイムスリップさせる人を選ぶ事は出来ない。死の瀬戸際で窮地を脱する強運。それも奴を覇王たらしめた1つの所以じゃろう…〉


〈そして400年もの時間、奴は歳を取らずにこの未来でその力を奮っている、という訳じゃな。〉


 なんてことだ…


 ハカセから見た俺のように、俺からしたら奴は正しく古代人…


 そんなの勝てるわけないじゃないか!!


 あの刀さばき、俺のなんちゃって剣道なんかとは比べ物にならない、人を殺すための「本物」の技…。


「ハカセ…」


〈なんじゃね?〉


「帰らせてくれ」〈ムリじゃ。〉


 いやだぁぁぁぁ!!!俺はまだ死にたくないぃぃぃい!!!俺はまだ高校生なんだ!やり残したことが山ほどあるんだぁぁぁぁ!!


 いや、まてよ??


 奴は確か真っ黒なパワードスーツを着ていた…。


 そのアシストもあってあの刀さばきが出来ていたんじゃ…!


「ハカセ!俺にもパワードスーツをくれないか!!」


〈うーむ、できぬことは無いが、既存のものでは君には適さんじゃろう。新しく開発してみるとしよう〉


 本当か!!これで奴に対抗できる可能性が見えてきたぞ!


「ウィーン」


〈ツバサさん、これからバタバタしていて出来なかった護衛隊の詳細を教えていきますのでついてきてください。〉


 薔薇ローズ副隊長…


 目の前で隊長がやられて、彼女も相当なショックを受けたろうに…


 よっぽど俺より強いんじゃないか…


 いや、後ろ姿でわかる。強がっているだけで、彼女もきっと怖くて辛いんだろう。俺がしっかりしなくては。


 彼女の後を着いて歩いていると、彼女が説明を始めた。


〈今回の戦いでは、護衛隊は20名ほどしかいませんでしたが、実は全部で2000人ほどの隊員で構成されています。〉


 2000?!なんで20人しかいなかったんだ!!


〈今はほとんどの人員が、「暴徒」の鎮圧に出払っています。〉


〈その手薄なところを「座天使スローンズ」の無人の手駒と、最高幹部である「ノブナガ」に突かれたのです。〉


〈ちなみに「座天使」の勢力は、無人機も含めおよそ20万人と言われています。〉


 はいオワタ〜。


 今回約5倍の人数を何とか押し返したってのに、100倍とか無理ゲーでーす!!

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人間が脆弱になった未来にタイムスリップで現代人無双! JOKER @onitara

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