第9話 歴史との遭遇

〈終わりましたね…〉


〈オイオイ、俺はまだやり足りねえぜ!〉


 今回の「座天使スローンズ」からの攻撃で、怪我人数名、設備の1部破壊はあったものの、敵の規模からすると被害は最小限に抑えられたようだった。


〈とりあえず、体勢を立て直すと共に、詳細の調査を進めます。〉


 副隊長の方がしっかりしてるよなこの護衛隊。


〈オイオイ、なんか言ったか新人!!〉


 なんだかんだ言って認めてくれてるんだなこの人は…


「ブルルッ」


 ん、馬?なんでこんな所に。


〈ぐあぁぁぁぁ!!〉


〈「?!」〉


〈新手の敵襲!!敵は…!!〉


〈1人です!!!〉


 まじかよ!まだ終わってなかったのか!


《フハハハハ!!我が直々に馳せ参じてやったぞぉ!!》


 護衛隊をなぎ倒しながら現れたそいつは、真っ黒なパワードスーツを身にまとい、俺がよく知る「刀」を持っていた。


〈オマエら、下がってろ!おれがやる!!〉


〈隊長!奴は危険です!!奴は「座天使」の最高幹部…〉


〈「ノブナガ」です!!〉


 えっ、偉人の名前付けちゃうやつもいるの?


 てか最高幹部出てくるの早!


〈オイオイ、今は棒切れ持つのが流行ってんのかぁ?!〉


〈単騎で乗り込んでくるとは、護衛隊も舐められたもんだな!!粉々になりやがれ!!〉


「ザザン!!」



 一瞬の出来事だった。俺でも目で負えないほどの、一瞬。


〈うぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁ!!?!!〉


〈隊長ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!〉


《ほんにこヤツら、脆いのぉ…》


 悪夢のようだった。隊長の名前とかけた訳ではなく、まさに悪夢だった。


《おい小僧、貴様とは次の機会に殺りあうとしよう!!》


《ハッ!》「ブルルッ!」


 俺にそう言うと、黒いスーツの男、「ノブナガ」は馬に乗り走り去った。


 1ミリも動けなかった隊員たちと、手、脚を全て切り落とされた隊長を残して…。


 俺ももちろん、ただその惨状を見ていることしか出来なかった―――――


 隊長を筆頭に、怪我人達は博士の元に運ばれ、持てる医療の技術を全て注いで治療が施されていた。


 ヤツは、あの「ノブナガ」とかいう奴は、一体何者なんだ?!


〈まさか、奴が現れるとはのう…〉


 博士!何か知っているのか?!


〈驚かずに聞いて欲しい。君も体験したタイムスリップの技術、実は400年ほど前に既に1度使われていたんじゃ。〉


〈しかしその時にタイムスリップしてきた人間に開発者は殺され、機械も破壊されてしまったんじゃ。〉


 そいつは俺のいた2020年より400年以上前の人間だって言うのか?


 まさか…


〈そのまさかじゃ。そやつが来たのは1582年。〉


〈あの「織田信長」本人じゃ!!〉

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