昔の人は言いました

ツヨシ

第1話

頭にきた。

好きな女の子にふられてしまったのだ。

こうなると強い憎しみしか残らない。

昔の人は言いました。

可愛さあまって憎さ百倍。

まさにそのとおりだ。

だから俺は彼女を呪うことにした。

当たり前だ。

そんなのは日本の常識だ。

そこでネットで調べてみた。

あるわあるわ。

怪しい物からよくわからない物もふくめて、膨大な数の呪いのグッズが。

どれもそれなりの値段はするが、むこうも商売なので有料です。

そのなかで俺が一目で理解できる物は、藁人形だった。

これだけでもそうとうな数が販売されている。

需要がかなり多いのだろう。

一つ購入した。

そしてマニュアル通りに一生懸命実行。

すると数日後、俺は突然のリストラにあった。

――おかしいなあ。彼女に呪いをかけたはずなのに。

しばらくして再び藁人形を購入し、夜の神社でそれこそ全身全霊。

これ以上ないぐらいに必死で呪った。

――いくらなんでも、これで間違いないだろう。

すると俺は重い内臓疾患になった。

――ええいっ、まだまだ。

病身をおして三度目の挑戦。

またまた神社で盛大に藁人形に五寸釘を打ち付けた。

すると俺は交通事故にあった。

その結果重症。

俺は収入がないのに長期入院を強いられたのだ。

ようやく退院すると、彼女は超がつくほどの一流の男と結婚するということを知った。

不幸になったのは俺のほうだ。

昔の人は言いました。

人を呪わば穴二つ。


       終

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昔の人は言いました ツヨシ @kunkunkonkon

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