第30話 白い毛皮と飼育許可

時刻はシルバーがハインツ達の前に現れる数時間前……


(ケイトside)



私は学園の女子寮の入り口の前で、固まっていた。

なんと!入り口の扉を白くて大きな魔物の死体が塞いでいるのです。




その前にシルバーが座って尻尾をピンと立てて、自慢そうな顔で私を見ています。




女子寮の私の部屋に、持って来ようとしたけど入らなかったのね……




この状態を見て、私と意外の方達は皆さま気絶しています。




珍しくシルバーが、私を何処かに連れて行きたがったので着いて行くと、こんな事になってたの……




絶対寮母さんや先生方に怒られるわ。




「凄~い♪コレってキングイタッチかしら?

白いのなんて凄く珍しいわよ♪」




姉は喜んでいますが、私は後の事を考えるとガクブルです。




「あら?もしかしてこの後の事が心配?

大丈夫、良い考えがあります!私に任せなさい♪」




と、言って何処かに連絡し始めました。

やはりこういう時、姉は頼りになります。




姉の言う良い考え……

それは、『コレを王家に献上して、その代わりにシルバーを番猫として女子寮で飼う許可を貰う!』と言うのです。




でも、ここはですわよ?




結果的に姉のこの提案は上手くいきました。





『近年、我が国でも獣人族の方達が増え、獅子や虎系の獣や魔物の毛皮の衣装はズーラシアン※1王国に対して失礼にあたるのではないか?』




という意見が増え、ユイナーダ王家も王族の正装用の新しい素材※2を探していたところだそうです。

そこへシルバーの獲って来た、白くて大きなキングイタッチの毛皮。




渡りに舟だった様です。

シルバーの女子寮での飼育許可も、あっさり出ました。

そういえば学園長も王族の方でしたね。




寮生の中には『侯爵令嬢の我儘』だとか言われる方達もいらっしゃいましたけど。




ところがその数日後、シルバーがまた獲物を獲って来ました。




今度は人間でした……




何と女子寮に侵入して下着や金目の物を盗もうとした、泥棒ヘンタイだったのです。

手薄な時間に入り込んで、盗みを働こうとしたところをシルバーに散々追い回され、寮で待機中のバトルメイド数名に見つかりコテンパンにされた挙句に、衛兵が来るまで、シルバーのおもちゃにされていたそうですわ。




泥棒ヘンタイは衛兵に逮捕される時、『ネココワイ、オンナコワイ…… 』とずっと言っていたとか……




女子寮を泥棒ヘンタイから守った事で、皆さまから感謝されました。




そんな毎日がずっと続くと思っていましたが、ミミミ先輩が春から高等部に進学され、それに伴い今の女子寮から高等部女子寮に、お引越しされる事になりました。




兎兄妹も一緒にお引越しです。

その節は大変お世話になりました。




―――――――――――――――――


※1

ズーラシアン王国の王族は、獅子や虎系等の猫科の獣人が多い。

その為、正装に同じ猫科の毛皮を使うのは失礼にあたるのでは?

という議論が出ている。


※2

正装用のマント等に付いている毛皮部分等


----------------

後書き

すみません!

ネタ切れです。

ケイトちゃんは、また暫くお休みです。

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国立ユイナーダ学園初等部①〜どうやら私は猫使いだったらしい【不思議猫使いケイトちゃん】 砂月ちゃん @natuki0163

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