愛を尽くしていたとしてあなたに一切届かないそんな事実は悲しいわわたしとあなたはこれまでも仲良しなのよ これからもだけどなんだか違ったわあなたの世界にいないわたし愛っていろんな種類があります。自分の心を満たすための愛。愛することこそが真の愛情。作中の、「かえってよかった」や「これから人生の始まり」という考え方に救いを感じました。
和裁を生業としている男性・杉ちゃんの家に、半ば押し付けるように二つの帯を持ってきた女性。それは、自分を育ててくれなかった、母親のものだった。母子の謎を追いながら、見えてくる彼女たちの事情が、重く心に圧し掛かってきます。どちらの気持ちが分かるからこそ、辛いものがありました。この後の、登場人物たちの幸せを願ってやまない、そんな一編です。