ラストの1行は大切です。ミステリーだったらどんでん返しがあるかもしれません。おっと、これはネタバレ?いやミステリーではないから大丈夫なはず。深海三千メートルオヤジというキャッチーなワードで締めくくっていますよ。味わい深い。ひとによっては嫉妬するくらいナイスです。レビューになってない? なってないかー。そんなこともあるよね。
受験勉強をしている娘・愛海。それにうざったく絡む父親の岳仁。一見凸凹なこの親子には、とある事情が……。たったワンシーンで、二人の関係と、親子としての絆を感じます。一見、とてもうざい岳仁にも……という場面で、じーんとしました。言葉にして示しているような愛だけでなく、見えていないところの愛も、伝わっているから、この二人はきっと大丈夫。そんな、力強い肯定感に満ちた一作でした。
同じタイトルで別々の作者さまが思い思いに物語を書く企画「同題異話」に参加されている作品です。 今回のタイトルは「鯨よりも深く」という、かなり意味深なタイトル。鯨の雄大さ、光の届かない深い海の静謐さ、そういう感じのタイトルなのかな──と思っていたのですが、ちえさんの作品はちょっと予想とはいい意味で違いました。 ある意味、全然静かじゃない! でもそれが素敵! 素直にそう思える作品となっています。未読の方は是非! オススメの一作です!