弟とウサギの彼女

第2話 弟と結婚

　弟が彼女を紹介してくれた。

　わざわざ都会まで呼び出して、奴はスマホを取り出した。

　まじかよ。

　『俺の嫁』って奴なのか！？

　そう思った私に「まあ見てなって」と、スマホで絵が描けるというアプリを起動した。

『はじめまして』

　画面にそう書かれた。

　弟はスマホから手を放してドヤ顔だ。

　件のスマホは宙に浮いている……。

「彼女だよ！！」

　テキストで文字でも打てばよかろうに。

　そう思っていると画面には可愛らしくウサギのマークが描かれた。

　絵が好きらしい。

　なんでも最近はポルターガイストで家事を彼女が担当しているらしい。

　意思の疎通を図ったら、幽霊にしておくのが勿体ないくらいの良い子だった。

　で、しばらく家で一緒に暮らしているうちに自然と付き合う流れになったらしい。

　こんなに良い子は今までにいなかった！　と力説する弟。

　そうじゃない子にもいっぱいあったのかよ。

　私は寒気がしてすぐ帰ることにした。

　だって、紙ナプキンが勝手に浮いて、何か鶴折っているんだもの。

　弟は帰りに折り紙を買う！　と言っていた。

　しばらくして今度は「彼女と結婚することにした！」だとさ。

　正気か……？