最終話「メチャクチャレッド」

 数分後、正義とまこは目を覚ます。

 そこには涼しい顔をした弾が座っていた。


「あ、あれ? 俺、何してたっけ」


「あれぇ? もしかしてまこも寝ちゃってた?」


 寝ぼけた顔であくびをする2人を確認して、弾はにっこりと笑った。


「お二方ともたるんでるでござるなァ。そんなことじゃダークシャドウにやられてしまうでござるよ」


 白々しい弾のその言葉で、正義の顔が引き締まった。

 本堂正義はダークシャドウに改造された改造人間である。

 脳改造の前になんとか逃げ出すことはできたが、もうすでに体にはバッタの遺伝子を組み込まれ、人間ではありえないほどの脚力を身につけていた。

 自らをバッタ怪人に改造したダークシャドウへの復讐を誓い、今はこの『自衛戦隊メチャクチャジャー』に身を寄せているのだ。

 必ず全滅させてやる。

 正義は思わず拳を握りしめた。


「どうしたの? 正義ちゃん。お顔こわいよぉ」


「そうでござる。まるでダークシャドウの怪人みたいな目でござるぞ」


 弾とまこが、思わず後ずさる。

 その手は変身装置にゆっくりと伸びようとしていた。

 実際、ダークシャドウに改造された本堂正義は、詳しく調べられれば怪人と判断されてしまう可能性が高い。

 それに、あの巨大な秘密結社を倒すには、一人で戦っていても勝てないのは明白だった。

 ここで疑われるのはどうしても避けなければ。

 正義は、いざというときのために用意していた記憶消去薬の瓶をそっと取り出し、ゆっくりと蓋を開けた。


――了

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自衛戦隊メチャクチャジャー 寝る犬 @neru-inu

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