7月7日

勝利だギューちゃん

第1話

「願いは何て書いたの?」

「内緒」

「私も内緒」


七夕が近づくと、近所のスーパーやショッピングモールで、笹の葉が飾られる。

そして、短冊とマジックが置かれている。


『願い事を書いて、吊るせ』という事だ。


そこには、様々な願い事がる。


【プリキュアになりたい】

今時の女のらしいな。


【家族仲良く】

無難だな。


【〇〇くんと、付き合いたい】

思春期の女の子らしいな。


僕の願いは何だろう?

小さいころに、幼稚園で書いた願い事。


何だっただろう?

もう忘れてしまった。


周りを見渡す。

幸い誰もいない。


僕は、マジックを握り、短冊に願いを書いた。


【心願成就】

これで、全て賄える。

便利な言葉だ・・・


「さすがに、漢字で書けるようになったね」

ふりかえる。


「やあ、久しぶり。子供の頃から毎年同じだね」

その声の主をみて、溜息が出た。


落胆ではなく、安堵の溜息が・・・


「君と会うのは何年ぶりかな」

声の主である女の子は、笑顔で語る。


いくつになっても、好きな女の子の事は忘れない。


「そういう君は、なんて書くんだい?」

「内緒」

「おケチ」

「嘘よ。教えてあげる」


そういうと、少女は短冊を見せた。


【初恋人に会いたい】


「でも、叶ったから吊るす必要は今年はないね」


彼女は、ポニーテールに束ねていた髪をほどいた。

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7月7日 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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