けしごむ

バブみ道日丿宮組

お題:人妻の消しゴム 制限時間:15分

けしごむ

 人生に終わりがあるならそれは人に忘れられた時。

 つまりは人に刻印を押し付ければ、僕という個体は消えはしない。

 かといって作りすぎるのも考えようだ。

 相手に顔がバレてる以上、自分で変えなきゃいけない。

 もっとも僕と人が作り出した得たエネルギーをそのまま使用すればいいだけなのだから簡単ではある。記憶もなくなる。僕だけが楽しむ。

 そのためのDNA改良。

 すぐに子どもができる。そのパーツをあわせて顔をリメイクする。いわば消しゴムのようなものだ。

 関係をもった人にしか影響がないのが問題だ。人妻を襲えば夫、子どもが不審に思う。

 それに警察だって無能ではない。連続的犯行だとすぐに気がつくだろう。

 とはいえ、顔もDNAも変わった人物を発見できるとも思えない。

 そんな特異体質、自分で配合して変換できる人を探すことは不可能。現行犯であるならばなんとかなるか……?

 誰が捕まって誰が捕まってないか、僕自身でもわからない。捕まるのは失敗作だろう。生命の吐口と使われたものから産まれた僕。そして産まれたものを捕食する僕。今のように思考する僕。

 様々な僕がこの世界に蠢いてる。

 つまり僕が楽しめないってことはありえない。個が偶になるなら、偶も個である。消しカスでもれっきとした僕に変わりない。

 ひょっとしたらテレビに出てる人が僕かもしれない。僕が僕を食べるなんてこともあったかもしれない。だから、考えるのは無駄かもしれない。増え続ける僕はやりたいことをやるだけ。

 人はそういう生き物。ただ他者を喰らい続けるのみ。

「……」

 学校生活も飽きてきた。

 何度目かの受験。点数制御、隣人確保。教師評判。手はいろいろと尽くした。堕落しやすく、壊れやすい。コントロールもたやすく行える。

 自分の構造をしればしるほどに他者はただのもの。リライトが必要なくらい愚かさに溢れてる。作りたかった環境は作れただろうか。

 隣人は応えないーーただ頬を赤めるばかり。

 なら、僕はまた僕を作り出すだけに過ぎない。

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けしごむ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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