第10話

「とりあえず今日は早退するわ。次の教科の担任に適当に言っておいてくれ。じゃあな。」


「お前ってヤツは…あぁ、じゃあな。」


後ろで聞こえてくる未来の声を背に小さく手を振り、そのまま教室を後にした。



「ねぇ、未来くん。」


オレがいなくなった教室で、女子生徒が未来に話しかけた。


「どうしたの?」


「いや…、清川くんさ、もしかして………。」


濁しながら言う女子生徒に、オレがいなくなったドアを見ながら未来は首を横に振る。


「いや、あの感じだと多分違う。最初はそうかと思ってマジで止めたんだけどね。


ただ、やっぱり気になるんだよ。あんなことがあったし。」


「そっか、そうだよね…。みんなそうだよ。」


その女子生徒もポツリと呟いて、未来と同じ方向を見つめた。


オレがいなくなった後の教室は、電気を付けていないからか、まるでお通夜のように独特で静かだった。


そんなことも知る由もないオレは、ただ次の行動を考えていた。

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人間ゲーム のらだぬき @uzu_tanuki

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