初めましての合図
俺がマサキと仲良くなったのは高校入学したての
あの、席が近い人同士でした初めましてのオリエンテーション
席の近い人同士で自己紹介する時間なのに、自己紹介なんてしてなくて
残り寿命何年?って恒例の話を席の近いみんなでしてた
「俺は残り57年」と俺が答えると
「俺ら、同じ歳で死ぬじゃん!火葬派?土葬派?」
ひときわ、大きな声でマサキが反応してたっけ。
「どっちだろう。今から真剣に考える。」
「そんな本気で考えなくていいよ(笑)」
「決めた。」
「はや!ちょ、5秒も経ってないぞ、もっと寿命使って本気で考えろよ」
「本気で考えなくていいよって言ったのに...」
「そこは言葉の綾ってことで、んで、どっち?」
「57年後の死ぬ前の自分がしたい方にする」
「え、お前...」
「え、なに?」
急に力強く抱きしめられて言われた
「理想の死に方まで一緒だなんて...!!」
「ちょ、気持ち悪いから離れろよ。ってか
お前も決まってないのかよ」
必死に手を振り払おうとしてもびくともしない
力強すぎんだろ。
抱きしめられるなら腕の細い、短いスカートの女の子がいいなと
ごつい腕に抱きしめられながら思った
「決まってないんじゃなくて、将来決めるってことを決めてんだろ!」
「そうか、将来の自分が決めること決まってるから、決まってるのか。」
この時のマサキを「こいつ天才だな。」と心の底で思った。
「共通点しかない、お前は今日から腹違いの兄弟だ!
これから3年間よろしくな!弟よ!」
さらにきつく体を抱き締める、マサキは抱いてはいない
プロレス技みたいにきつく体を締めている
この抱き技から逃げるべく
「はいはい!腹違いの兄弟ですね!!
わかった。わかったから手を放して死ぬ!」
会話の内容はどうでもいいから
圧迫死する前に、この狂気的な愛情表現から抜け出したい!!
「おぉ..すまなかった」
ようやく、力の緊張が解かれて、久々に肺いっぱい酸素を取り込めた。
「もし彼女が出来たら、今の力の1/100の力で抱き締めろよ。その愛で彼女を殺すぞ」
「ほんとか。今のでかなり加減してたんだけどな。わかったぞ。弟よ」
あれが...?加減...?
こいつぜったい、調味料のさじ加減適当な奴だな。
小さじ一杯を図らないで目分量で測って入れすぎるタイプだな
「ってか、弟じゃなくて、名前で呼んでよ」
「あぁ、ごめんって、あれ、名前なに?」
この言葉でお互い名前聞いてなかったことを思い出した
「名前を聞く前に腹違いの兄弟になったな(笑)俺はマサキ。よろしくな」
「俺は翔貴、よろしくな。弟よ」
「弟は翔貴だぞ!」
残念ながらマサキのツッコミは
キンコンカーンコーンと終わりの合図に
消された。
どっちが弟論争はこのチャイムの音で強制終了して今も決まってない
「何あの2人、面白いなぁ。」
遠くから様子を見ていた柏木真帆がぽつりつぶやいた。
見える未来 みなみ @flum
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