結果発表

 おはようございます。ささたけです。

 皆さま覚えていらっしゃいますか?

 そうです、本日は第百六十五回直木賞受賞作決定日(長い)です。

 さっそく選考結果を見ていきましょう。


【第百六十五回直木賞受賞作】


・テスカトリポカ(佐藤究 著)

・星落ちて、なお(澤田瞳子 著)


 W受賞でございます。

 縁もゆかりも面識もございませんが、ご両者様おめでとうございます。


 さて、一方で。


 私の予想はどうでしたでしょうか。

 未読の方は以下にリンクを貼っておきますので、どうぞご確認くださいませ。

https://kakuyomu.jp/works/16816452221162835647/episodes/16816452221345983966




 読みましたか?

 はいそうですね。




 かすりもしねぇ(白目)




 ――いやいや、一応かすってはいますね。

『「読者を引き込む文章の腕力」を一番感じた作品として、まずは『テスカトリポカ』に一票。』

 と言ってますんでね。

 まあ、このあと色々な人のレビューを見てみたんですが、『テスカトリポカ』は、やはり絶賛の声が多かったですね。受賞も当然むべなるかなといった感じでした。

 もっとも、私と同じように作品の雰囲気が「従来の直木賞の傾向にはそぐわないのでは」という声も多々ありました。「いっそ直木賞など受賞せずに海外の文学賞に出せ」なんて人までいましたね。確かに、日本を飛び出しても受け入れられるような文学であるかもしれません。

 そのくらいポテンシャルのある、素晴らしい作品でございます。

 ただ一言だけ言わせてもらいますと、


「登場人物どいつもこいつもクスリ漬けやんけ!」


 というのが正直な感想です。

 麻薬密売組織が絡んでいるので、当然と言えば当然なんでしょうけど。

 それに誰も彼もが服用している様を描くことで、「麻薬ドラッグはもう、見知らぬうちに身近に迫っているぞ」と著者が警告しているようにもとれると思います。


 それはともかく。


 作品的には、序盤・中盤・終盤と血みどろなうえに非人道的な奴らばかりで、隙も救いもありません。神はいますが慈悲はないです。

 そして、そんな絶望の闇を突き進んだ先にある、最終盤クライマックスにも希望はありません。ただし――光はあります。そこに読後の解放感カタルシスが潜んでおります。

 今作の受賞は、直木賞に似つかわしくない作品だからこそ、直木賞の方向性を決定づける受賞になるのではないでしょうか。

 未読の方は、どうぞご一読くださいませ。


 続きまして、『星落ちて、なお』ですが。

 正直な話をしますと、私は今回の候補作の中でもっとも受賞はありえないと思っておりました。それゆえに私の選考では、ほぼ言及しておりません。

 もちろん作品は面白かったですし、個人的な思い入れなんかもなくはなかったのですけれど――なんというか、そんなことは絶対にないでしょうけれど、「著者が五回目のノミネートだからというお情け」とか「テスカトリポカみたいなアクの強い作品を中和する意図」とか、そんなうがった見方をどうしてもしてしまうのです。

 『テスカトリポカ』が「従来の直木賞の枠を壊す作品」だとするならば、『星落ちて、なお』はあまりにも「従来のままの直木賞作品」という気がしてならないのです。そのために「方向を変えたいのか守りたいのか判らないどっちつかずのW受賞」な感が否めません。


 ですが――これは結局のところ、私自身の読書眼が選考委員に及んでいない何よりの証左なのでしょう。


 もちろん個人的な好みもあるとは思うのですが、選考委員が「良い」と思ったものを私が「良い」と思えなかったのならば、その部分での感性が劣っているということです。そういう意味では、早く選評を出して欲しいですね。「良い」と判断した部分を具体的に知るためには、選考を読むのが一番です。

 それまでのあいだは、私には足りない感性を養わんがため、今一度『星落ちて、なお』を読み直してみたいと思います。

 自省と切り替えの早さは私の長所です。

 変わり身が早いとも言いますが。


 そんなわけで。


 己の未熟さを思い知った今回の直木賞選考でした。

 皆さまも是非、受賞作だけではなく候補作もお手に取ってみてくださいませ。

 きっとあなたの新しい世界を拓く一冊に出会えますよ。

 それでは――。

























 ――ところで。

 ご存じですか?

 直木賞って、あるんですよ。

 今回のはあくまでもなんです。



 ――えっと。



 下半期もやるの?(白目充血)




 私が失踪いせかいてんせいしていなければ、半年後にまたお会いしましょう。

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ささたけ的直木三十五賞選考会 ささたけ はじめ @sasatake-hajime

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