人類の敵
黒うさぎ
人類の敵
魔王。
それは凶悪な魔物たちの頂点に君臨する存在。
そして全人類共通の敵だ。
勇者として選ばれた俺は、皆の期待を背負い長く過酷な旅に出た。
何度も人の死を見てきた。
その中には共に旅した仲間も含まれている。
何度もくじけそうになった。
だが、その度に故郷の皆を思い出し、折れそうな心を張りぼての笑顔で支えた。
数多の魔物を斬り捨て、そしてついに、俺は魔王を倒した。
ヒト型をしている魔王だが、その命を奪うことに抵抗はなかった。
いくら姿が似ていようとも、所詮は魔物であり、人類の敵だ。
頭に角は生えているし、背中に翼だってある。
人間ではない。
魔王の亡骸を尻目に、俺は一つの扉の前に立った。
人間の街を襲い、幾度も財を奪ってきた魔王が最後まで守ろうとしていた部屋だ。
きっととんでもない宝があるに違いない。
俺はゆっくりとその扉を押し開いた。
そこには、泣きながら震える、角と翼の生えた子供がいた。
俺の中で何かが折れた。
人類の敵 黒うさぎ @KuroUsagi4455
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