少年「クレア」

「こんな、、、!!こんな事があってたまるか!***の行き着く結末がこんな、、、!!!」

 ナニモ無い空間に一人男が立っていた…

 彼は何かを悔いるかのよう、ナニかに絶望したかのように泣き叫ぶ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…ア!」

「ク‥ア!」

「クレア!」

誰かが僕の名前を呼ぶ、目を覚ますとそこには優しい雰囲気を持ちつつどこか威厳のある女性がいた。

「おはようクレア。何度も呼んだんだけど来なかったから起こしに来たよ。うなされてたけど大丈夫?」

(あれは…ユ…メ?)

「まだ寝ぼけてるの?顔洗って冷えないうち朝ごはん食べて来なさい。今日はおじいちゃんと魔法の訓練するんでしょ」

「えっ!?うそ!?いま何時!!?」

少年は時計を見るや否や飛び起き朝の身支度を済ませ外に出かける。

「伯母さん!いってきまーす!!」

走りながら無邪気に笑うクレアを伯母・マリアはどこか寂しそうに見つめていた。

「おはよう御座います!ゼン先生!」

到着したクレアは白髪の老人に元気よく挨拶する。

「いつもの様に叔父さんって言って欲しいのう…少し恥ずかしいわい」

老人は少し赤面しながら返事した。

「んー…ならそうするよ。今日から魔法教えてくれるから先生の方が良いかなーって思ったんだけどなー」

「先生は尊敬される人に送られる言葉じゃからのう…尊敬されるようなニンゲンではないのじゃよ…」

「叔父さん…?」

「いや、なんでもない。ところで魔法とは何か知っとるか?」

空気が重くしまったと気づいた老人は慌てて話を変える。

 魔法とは50年前ケモノの発生により起こった厄災に人間が抵抗するかの様に発現した力。

 当初は発現した者が5人しか確認されなかったが厄災が過ぎた後にその数は増加した。

 後の"研究"により幼少期に脳の一部が特殊に発達する事で魔力を感知出来るようなり魔力を消費する際に発生する現象が魔法だと判明した。故に5歳までに魔力を感知出来ない人は一生使う事は叶わないとされている。

「魔法は魔力を消費するが、なにも魔力だけでしか魔法が使えない訳ではない。魔力・妖力・霊力・闇の力・光の力など様々な力を元に使う事が出来る。」

「知らなかった…でも、妖力とか聞いたことないよ?」

「10年前に魔法の真相について研究していた全ての研究所がシオンに襲撃された事は知っとるか?」

「うん…」

クレアは突如雰囲気が変わった叔父に驚きつつ話を聞いた。

10年前"魔法の真相"について研究していた研究所が元英雄のシオンによって襲撃され壊滅した。

襲撃された研究所の職員は見るも無惨な状態で発見され、研究のデータや資料など全てが無くなっていた。

それから程なくして各国は研究を再開したが、すぐに襲撃され前回と同じ道を辿った。この一連の事件により魔法の真相についての研究はタブーとされ、未発見だった妖力などの力は知られる事が無くなった。

「魔法は使い手によって助ける事も殺す事も出来る…お前に魔法を教える代わり人を助ける事に使うことを約束してくれ。」

叔父は真面目で悲しそうな表情で聞いてきた。

初めて見る叔父の顔に少し戸惑いながらもクレアは迷いなく答えた。

「うん、約束する」

こうしてクレアの訓練が始まった。

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