食卓
バブみ道日丿宮組
お題:臆病な食卓 制限時間:15分
食事
食卓の近くで少年が立ってる。
その上には少年の分の食事は乗っておらず、親と思われる男女は無視するかのようにご飯を自分たちだけ楽しんでる。いかにも美味しそうに笑顔で、うまいうまいと声を上げる。
「……」
その光景を見てる少年の顔に戸惑いや、悲しみはない。
もう何度も見られた光景だから、これがしつけなのだからと。
両親が食事を終えると、召使いたちかが食器を片付けて始めた。
「お前の分は部屋に運ばせる。はやく出ていきなさい」
「はい」
少年は両親に背を向けると、静かに食堂を後にした。
「はぁ……」
ベッドで寝転ぶと、急に疲れがやってくる。
両親は食べるのが遅く、いつもだいたい1時間ほど時間をかける。
そこから少年のご飯がくるまで2時間。おなかの虫が激しいほどに暴れてた。
「……失礼します」
控えめのノック音とともに、メイドがおぼんを持って入ってくる。
「本日のメニューです」
それを部屋の中心地にある大きなテーブルに乗せた。
「……」
そこにあったのは、黒ずんだもの。もとが食用だったもの。決して食べられないものを使ってるわけじゃない。
「終わりましたら、呼んでください」
メイドは役目が終わり、外に出ていく。
残された少年は、テーブルにつき、料理を見つめる。3つ大きな塊があるが、それが何かであるか判断できない。
一口、また一口にと塊を少しずつ口にする。
「……おぇ」
苦虫を噛み潰したような顔をしても、口を動かすことはやめれなかった。
これが自分のご飯であり、生命を守る大事なエネルギー要素と。
いかにも失敗作であって、少年は両親と食べたいと願い、口にするのだが、食欲をなくす料理は食堂には出せないとお叱りを受けた。
少年は両親に嫌われてるわけではない。むしろ愛されてるといってもいいだろう。
なにせ名食を作り続けて、それを食べさせてやろうと思ってるからだ。
それは歪んだ愛かもしれないが、少年には理解できなかった。
食卓 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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