第3話

 この村に到着してから一週間がたった。村には立派な図書館がありこの世界の歴史を知ることは容易であった。魔王がいた時代はモンスターが村や街を襲っていたそうだ。魔王は世界に存在するだけで邪悪なパワーをモンスターに与え凶暴化したモンスターによって多くの血が流された。その魔王を打ち倒したのが俺ってことだ。絵画のようなものには確かに俺に似た人物が描かれていた。

「なあ龍。」

可愛らしい猫に俺は話しかけた。

「なんだ?」

「この状況お前はどう思う?」

「というと?」

「なんか変だと思わないか?俺が勇者として転生したのはまあこの一週間で分かったが、なんで勇者としてなんだ?これってなんかの前触れなんじゃないかって思っちまうんだよな。考えすぎか?」

こんなことを話せるのは俺の事情を知っている龍だけだ。それに加えて、龍は感が鋭い。eスポーツで培った感覚は現時点でも現役のようだ。

「考えすぎだと思う、、、と言えればいいんだけどな。俺もなんか意味があるんじゃないかって思うぜ。魔王がいたってこともそうだが俺たち以外にも転生してる奴がいるっていう可能性もあるよな。例えば死んだ理由に関係しているのかも。」

やっぱりこいつは頼りになる。相棒として召喚して良かったと親身に持った。

「もしお前がいうように他にも俺のクラスの奴らが転生してるとしたら味方になってくれるだろうか。俺龍以外とはあんまり話してこなかったしあったとしてもわかんないよな。」

「そういえば村のことで頭がいっぱいだったが能力についてなんかわかったことあるか?」

「お前に言われてから色々調べてみたのだがステータスの鑑定をするために教会に行ってステータスを石板に映し出すことができるみたいだぜ。この村にもあるみたいだから今度行ってみようぜ。」

「それって人間のやり方だろ?龍みたいな相棒のステータスはどうやって見ればいいんだろうな。それも調べてあるんだろ?」

「もちろんだぜ。俺みたいないわゆる幻獣は相方の鑑定書の中に同様に書かれるみたいだ。幻獣の欄があるんだってさ。だからお前が鑑定すれば俺のもわかるってことさ。」

さすが龍だ。しっかりと下調べをしてやがる。善は急げだ。今から教会に行ってみよう。

 村の東側にある教会についた。とても綺麗な造形でまるでフランスの「サントシャペル教会」に似ている。中にはステンドグラスがありとても幻想的な雰囲気がかもし出されている。その中にはいると教会の司祭が出てきて俺に挨拶をしてきた。

「よくぞいらっしゃいました勇者様。本日はどのような御用件でこちらにいらしたのでしょうか?」

六〇代後半のように見える司祭は老いぼれているにもかかわらず腰も曲がらずしっかりとしている。これも神のご加護なのだろうかと思った。

「今日はステータスの鑑定をしようと思ってこちらに伺いました。」

そう答えると司祭は奥の部屋に俺を通してくれた。そこは一面鏡で覆われており天井にはステンドグラスがあるとても不思議な空間だった。中央には六角形の石柱があり中心には手が置ける窪みがある。

「使い方を教えてもらってもいいですか?長い間、世間から離れていたことで使い方を忘れてしまって。」

嘘をついてしまったがまあいいだろう。司祭は不思議そうな顔をしたが手をかざして念じることで自分のステータスが石板に刻まれるということを教えてくれた。言われた通りに俺は手をかざし、念じていると段々と俺の現在のステータス石板にが表示され始めた。全てが表示された時俺は唖然とした。

種族 人間(勇者)

HP 一五〇〇〇

MP 一〇〇〇

スキル 魔王耐性 暗闇耐性 毒耐性 光属性強化 魔王特攻 魔法強化 

魔法継続時間延長 剣撃強化 魔導空間保持 ETC


すごい量のスキルがあるということがわかった。その中でも気になったのが「勇者の一撃」と「神秘の一撃」だ。勇者の一撃の説明文を見ると、

(勇者が相手に与える渾身の一撃。この一撃を受けたものは致命的なダメージを受け瀕死になる。勇者は勇者の一撃を魔王以外に使用するとこの能力を失う)

え、、、最強じゃね?あ、でも最後の一文が気になるな。魔王以外に使用するとなくなってしまうスキルか。これは大切に温存しておく必要があるな。もう一つのスキル「神秘の一撃」の説明は、

(武器に装備できる勇者のスキル。教会の祈りが十分に付与された真剣において発動可能。この能力は祈りの力によってパワーが変化する。祈りを捧げる人種・年齢によっても能力が変化する。)

と書かれている。なるほど、武器に装備できるスキルだな。祈りの強さや人種によって変わるってことは魔導空間にたくさんの装備を入れておいたらたくさん使えていいかもしれないな。そんなことを考えていると龍が足をぽんぽんしてきた。

「仁、俺のステータスどうなってる?」

キラキラした目で見てくる龍がなんだか可愛く見えた俺は龍のステータスを見た。

種族 ドラゴン(ペット)

HP 二〇〇〇

MP 五〇〇

スキル 魔力障壁 弱点特攻 身体強化 竜の咆哮

俺に比べればスキル量は少ないが気になるのが「竜の咆哮」説明文を見てみると、

(勇者に使える幻獣が使えるスキル。勇者のピンチを助ける咆哮。)

俺のことを助けてくれるスキルか。さすが相棒ってところか。このことを龍に伝えると少し不満そうな顔をした。

「俺の方が弱いのかよー、、、。元の世界だったら俺の方がゲーム上手いのになんか悔しいな。」

「まあまあ。俺のピンチの時にはよろしく頼むよ。相棒!」

「おうよー。」

お互いにステータスを確認できた。とりあえずスキルがたくさんあることも分かったしスキルの使い方についてまた図書館で調べてみることにしよう。俺はそう思っていたが俺の優秀な相棒は鑑定の仕方を調べるついでにスキルのことについても調べ上げていた。なんとゲームと同じように魔法を唱えることで発動ができるみたいだ。このことを知った俺は早く魔法を使ってみたくなってしまい近くの森を訪れるのだった。

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転生した世界はゲームみたいで案外楽しめそうだ @kanikama0719

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