後振り

 遠い昔、病院に連れていくのが遅れたため飼い猫チロを亡くしました。私のせいだとずっと悔やみ、慿依したように体調も崩し、そんな私をあの世のチロは気づかってくれたんでしょうね。

 ある日の夜会いに来てくれたんです、優しい子だったからチロは。ソファで横たわってたら妙な音声が聞こえてくるんです、他の猫を大事にしてねみたいなメッセージ。酔っているわけでもない、しらふなのに!最初は左耳、しばらくすると右耳。

幻聴かと驚いた私は二階のベッドになだれ込んで間もなく、驚いた。

体の上を無遠慮に踏みつけて通る子がいたから。そんな癖は当時チロだけだし呼んで探しても誰の姿もない。本来ホラーだけど再会できて非常に嬉しかったことを覚えている。でも、あれ一度きり。たぶん天の神様にお願いして慰めに来てくれたんだ。

ボク天国で幸せだから大丈夫これ以上苦しまないで、と伝えたかったのかな。

ごめんねチロ。

あの世でまた再会できますように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雨のものがたり オダ 暁 @odaakatuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ