障害を持ち、そして夢を持つということ

精神障害、発達障害を持ち、出版社で働く蒼ノ山健介は社会不適合者であるという自覚を持っていた。しかし、自らの障害と前向きに向き合うことで、それを乗り越え、自分の夢を叶え、社会の中での自分を見つけようと足掻き始めるが……。

作者自身の経験も生かされていると思える主人公の体験、感覚が生々しく語られているが、主人公が明るく前向きなので、その姿勢を素直に応援することができる。周囲の人々も温かく、主人公を見守ってくれる人ばかりなので安心して読めた。冷たい人々や理不尽な人々も見方を変えれば違った面が見えることを教えてくれる。
また、主人公や周囲の人々の所作や言動も可愛らしく、読んでいて飽きない。

誰もが思う自分自身に対する絶望やもどかしさを乗り越え、前を向いて歩いていくことの素晴らしさをストレートに伝えてくれる青春ストーリーの傑作。